斎藤元彦知事のパワハラ疑惑やおねだり疑惑を追及していた百条委員会は、今後どうなるのか。ジャーナリストの小林一哉さんは「百条委は骨抜きになり、存在価値を失った。斎藤知事の出欠にかかわらず、疑惑を追及することはもはやできないだろう」という――。
「いじめられ役」を演じ圧勝で舞い戻った
職員に対する一連のパワハラ疑惑やおねだり疑惑を吹き飛ばすように、兵庫県の斎藤元彦知事(47)は出直し知事選で圧勝、再選を果たした。
県幹部による告発文書に端を発した兵庫県議会の調査特別委員会(百条委員会)が全国的な注目を集め、県議会すべての会派、無所属の議員86人全員が全会一致の不信任決議案に賛成したことで、斎藤知事は“知事失格”を宣告されるかっこうとなった。
斎藤知事は、9月19日の全会一致の不信任決議に対して、県議会解散ではなく、自動的に身分を失う「失職」を選択した。
「いじめられ役」を演じるなど、したたかな選挙戦略を展開した斎藤知事は、若者・Z世代などから絶大な支持を取りつけた。
今後、約111万票という「民意」をバックに、「最も大事なのは県民のための改革」だとして、自らの提案した政策を何としても実現しようとするのは間違いない。
疑惑追及は「改革」への強い疑問が発端
「県民のため」を掲げる斎藤知事の「改革」とは、自らの提案した政策が正しいのであり、県議会の反対こそが間違いだと認めさせることである。
県議会はパワハラ疑惑などに対する厳しい追及を行ってきたが、これは斎藤知事の提案した政策への反発、不満によるものが大きかった。
つまり、パワハラ疑惑などの追及の根底には、県議会が斎藤知事の「改革」にこれまで強い疑問を抱き、その姿勢をあらためるよう求めてきたことがある。