「味があるから」受刑者に一番人気のメニュー

千葉刑務所に服役中の受刑者は言う。「たいていの人は(好きなメニューは)カレーと言います。理由は、味があるからです」

汪楠、ほんにかえるプロジェクト『刑務所ごはん』(K&Bパブリッシャーズ)

大分の受刑者も「結局一番となるとカレー」と同意見だ。「基本的に毎週1回食べられるのも嬉しい」と、その理由を語っている。

それと分かる味があり、また必ず定期的に食べられる。カレー人気の高さの所以ゆえんだ。

平日の昼食は、それぞれの従事する刑務作業の工場に配られる。「おい! 俺のカレーに肉2個しか入ってねーぞ!」と怒号を上げる受刑者がいる。すると、各テーブルから「○○さん、みんな1個しかないよ、それ当たりだから」などとたしなめる声が聞こえる。肉といっても小さな肉片であって、大きな塊ではない。これは千葉の受刑者から寄せられた手紙のなかで描かれていた、ある日の昼食の情景だ。

宮城の受刑者は、「カレーの日の副菜に必ず”福神漬”がつくのですが、これも一品扱いですよ!」と不満を訴える。副菜の品数は限られている。以前は3、4粒ほどの“らっきょう”が添えられることもあったそうだが、大きさや個数が喧嘩の原因となるため、今では姿を消したという。熊本からは「カレーにジャガイモが入っているのに、付け合わせがポテトサラダ」と問題視する声も届いた。

人気メニューのカレーだが、今では具材も寂しくなっているという。冒頭の写真は“生揚げ”のカレーだ。肉類を中心に使われる食材が減るなか、大豆由来のタンパク質が存在感を増している。

(ライター=田内万里夫 写真=名和真紀子 料理=田内しょうこ)
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