“権力欲リーダー”は言行不一致を恥ずかしいと思わない
なぜ、自分を律せないリーダーが増えるのか。
稲盛さんは、その原因の一つに美意識という視点もあると教えています。「『言っている』ことと『行い』が違えば、恥ずかしいという美意識が大事になってくる」というのです。そして、その美意識を高めるには「自分の仕事に対する誇りがなければならない」とも指摘しています。
人の上に立つリーダーに、「自分は部下から信頼され、尊敬される存在である」という誇りがあれば、「言っている」ことと「行い」が違えば恥ずかしいという美意識が生まれ、どうしても自分を律しようと努力するはずだと稲盛さんは言うのです。
一方、単なる権力欲でリーダーになっている人であれば、その地位を守ることが目的になっているので、「言っている」ことと「行い」が違っても恥ずかしいとは思わないと言うのです。
それでも当面はリーダーの地位は守れるかもしれませんが、そのような誠実さがないリーダーは信頼も尊敬されないので、いつかその地位から追われることになるのです。
仕事に美意識を持つことは、リーダーに限らず誰にでも同じように大切でしょう。
自分の仕事は「世の中に役に立っている」「自分は尊い仕事をしている」という誇りがあれば、誰からも文句を言われないような完璧な仕事をしたいという美意識が生まれ、そのために自分を律しようとする思いが強くなるはずです。
そのような人が、いつしか多くの人から信頼を得、また尊敬されるようになるのです。