根気強く声かけをしよう

まずは、規則正しい生活と清潔な生活環境を整えることを目指します。強行に親が部屋に入って部屋を片付けるのではなく、自分でやるように根気強く声をかけます。

「部屋を片付けてゴミを出してね。部屋がゴミ屋敷のようになったら不衛生であなたの健康にも影響が出てしまうよ」
「夜は消灯して寝るようにしようね。夜ふかしを続けるとあなたの体調が悪くなるのではないかと心配だよ。それに、朝から活動できると気持ちがいいよ」
「食事はお父さんお母さんと一緒に食べよう。あなたと一緒にご飯を食べられると、お父さんもお母さんもうれしいのよ」
「お風呂に入ったり、シャワーを浴びたりして、清潔にしようね。さっぱりして気持ちいいよ」

などと部屋の外からていねいに声をかけます。メモを書いて食卓のテーブルや冷蔵庫、部屋の前など、子どもの目のつくところに置いたり貼ったりするといいでしょう。

あとで立ち直った子どもたちに話を聞くと、「あのころ、家族全員が自分を見捨てていたので、人生をあきらめていた」と言う子が多いのです。

親から声をかけてもらうことは、心に届きます。すぐに変化が現れるわけではありませんが、根気強く声をかけ続けることが大事です。

両親不在の時間をつくる

子どもが部屋を自由に片付ける時間を与えることも大事です。

お父さんとお母さんが出かけて1日か半日くらい家をあけることを、子どもにわかるようにメモや声かけをして伝えます。

なぜ親が不在の時間が必要かというと、ひきこもりの場合、親が起きている時間にトイレに行くのをためらうため、ペットボトルに尿をためていることがあるからです。

それを親に知られずに自分で処分するには、親が不在の時間が必要なのです。こうした細かいアドバイスも39年の経験があるからわかることなのです。

写真=iStock.com/Sergey Dogadin
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