全部門を挙げてキャラクターにフォーカス
一本の映画を、ディズニーがリリースするとします。すると、その映画が話題になると、間を置かずにディズニーは映画のキャラクターを使ったさまざまなグッズ、書籍、ゲーム、DVDやブルーレイ、専門サイト、東京ディズニーランド&シーでのアトラクション、ディズニー・チャンネルでの放送など、実に多岐にわたる横軸の展開を繰り広げるのです。
そのようにして、その映画の1作目で、全世界の顧客と接点を作ることができれば、2作目、3作目をリリースした時に、1作目で反応してくれた顧客が反応してくれるようになります。そのために絶対に不可欠なのが、コンテンツの質の高さになります。ちなみに、こうした横軸展開をする、焦点を当てるべきキャラクターは、ターゲット層ごとに決定されます。
小中学生にはこのキャラクター、特に男の子にはカーズなどのキャラクター、女の子にはプリンセスなどのキャラクターなど、性別ごとに焦点を当てるキャラクターを変えることもあります。また、20代女性にはこのキャラクター、30代女性にはこのキャラクターなど、幅広い年齢層に向けて、最も効果的なキャラクターを選定し、全部門を挙げてそのキャラクターにフォーカスするのです。
また、人間のキャラクター商品は売れないので、人間がメインのアニメーションの場合、作品を作る段階で必ずかわいい動物のサブキャラクターを用意します。『アナと雪の女王』における雪だるまの「オラフ」、トナカイの「スヴェン」が良い例です。
ディズニー映画では「風邪薬」が登場しない
ディズニーのブランドが世界中で大きな影響力を持っている理由に、「子どもに悪影響を及ぼすものは一切行わない」というポリシーがあります。
子どもに悪影響のあるコンテンツを作ってしまうと、親御さんは当然それを子どもに見せないようします。そうなると、子どもも大人もディズニーを見ないということになってしまい、ブランド力は弱くなる一方です。
ですから、子どもに悪影響のあるものは作らないということを、ディズニーは徹底しています。例えば、タバコはディズニーの映画には出てきません。それだけでなく、風邪薬も出てこないのです。
お酒すら、ディズニーの映画には登場しません。なぜなら、子どもが家にあるお酒を間違えて飲んでしまったら大変なことになるかもしれないからです。子どもの誤飲を防ぐという意味で、お酒自体を登場させないのです。
また、セクシャルな内容、暴力的な内容もディズニーの映画には登場しません。しかし、これは傘下のマーベルなどには適用されません。マーベル・コミックのヒーローたちは、敵を倒すために暴力を振るうのが当たり前であり、ディズニーの基準を押しつけてコンテンツがつまらなくなってしまっては元も子もないからです。