石破政権で伸びる期待が持てる分野もある

投資には、「国策に売りなし」という格言があります。簡単に噛み砕けば、国家予算が充てられる分野は、成長するということです。また、石破氏は政権発足時に重要な3つの発言をしています。

言及1 「防衛力の抜本的強化」

元防衛大臣だった石破総理には、外交・防衛のイメージが強いこともあって、防衛関連株は注目でしょう。すでに株価が反応を見せています。

言及2 「防災・減災、国土強靭化」の取り組みの加速

元から、橋梁、トンネル、上下水道などのインフラには老朽化問題があり、加えて地震や台風・豪雨・洪水の自然災害も頻発しており、石破総理の誕生によって、この分野のソリューションとなる企業への需要は高まっていくことが予想できます。

言及3 地方こそ成長の主役「地方創生2.0」を起動

農業、漁業、林業、観光、文化芸術があげられています。地銀も関連してくるでしょう。ただし、この地方創生は石破総理の特長ではありますが、その次の総理が引き継ぐとも限りません。長期投資を考える場合は、私のなかでは「クエスチョンマーク」が付きます。たとえば、地銀株は上がることが期待されています。短期~中期ではその可能性があれども、持続的に成長するビジネスモデルには思えません。そこは注意が必要なのではないでしょうか。

令和6年6月7日、岸田総理に対し、総理大臣官邸で自由民主党による地域の所得と雇用の創出を実現する海業の推進に向けた提言の申入れを行う、石破茂氏(写真=内閣官房内閣広報室/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons

石破政権に関係なく需要がある分野に投資する

8月上旬の下落と「石破ショック」の下落で連れ安している、有望な業界や優良企業の株式に投資するのも名案です。

例えば、半導体関連は、政権に関係なく伸びていく分野と評価できます。石破総理自身も半導体は稼げる分野である旨言及しています。信越化学工業、東京エレクトロンなど、世界で戦える企業が多く存在しています。

次に、地味ではありますが、通信株も配当金狙いの投資先になると思います。日本は人口減とはいえ、あらゆる機器が通信と接続されるため通信量は増えていくことが予想されています。NTTなら単なる通信だけではなく、光の半導体にも期待が持てます。KDDIは営業利益率が優秀です。

もうひとつあげたいのは、海外に活路を見出しているハウスメーカーです。海外の積極的成長を狙う積水ハウスは、2024年に米国の住宅会社MDC社を大型買収しています。「海外建築・不動産事業」の売上高が全社売上高の過半数を占める住友林業は、9月末にオーストラリア最大手の住宅会社メトリコン・グループを買収すると発表しました。ハウスメーカーを例に挙げましたが、海外売上高比率が高い企業は、政権に関係なく伸びると思います。