「帝王学」を除外した教育

悠仁殿下が2歳になられた平成20年(2008年)のお誕生日に際しての記者会見では、「一部では『帝王学』などという言葉も聞かれるようになりましたが、今後の教育方針については、どのようにお考えですか」との質問があった。秋篠宮殿下のお答えは以下の通り。

「皇族としての自分の立場も追々自覚し、これは前に娘たちのことでお話ししたこともあったかもしれませんけれども、持ってもらうようになったらと思っております。そのほか、これも上の2人の娘と同じことになりますけれども、自分が関心があることなどを深めていってくれれば良いなと私は思っております」

このお答えで興味深いのは、「娘たち」「上の2人の娘」つまり皇位継承資格を持たない内親王方と同じ教育方針で臨むことを強調しておられる点だ。つまり、「帝王学」(象徴学)という観点を除外した教育ということになる。

皇位継承者を育てる教育方針は

さらに悠仁殿下が10歳になられた平成28年(2016年)に、「皇位継承者として悠仁さまのお立場が注目されている中で、これから学び経験してほしいこと」を質問された。これに対するお答えは以下の通り。

「若干私自身のこととも重なるのですが」として「(ご自身が)比較的日本の各地いろいろな所に行って、そこの土地土地の文化に触れる機会がありました。そのことは今……意外と役に立っているんですね。……そのようなことから長男にも、もちろん海外も大事ですが、日本の国内のいろいろな文化に触れる機会を持ってもらえたらいいなと思っていますし、またそれも含めて、幅広い事柄に関心を寄せてくれたらと思っております」(平成29年[2017年]令和元年[2019年]にも同じような回答)。

強い印象を残したのは、「立皇嗣の礼」が行われた令和2年(2020年)のやり取りだ。

記者からは、悠仁殿下の成長ぶりや進学先を含めた「教育方針」について、質問された。そこで秋篠宮殿下は、悠仁殿下の成長ぶりについて細かな内容を、詳しく説明された。しかし、進学先にもわずかに触れられながら、肝心な教育方針についてはまったく無回答のまま、「以上です」と打ち切られた。いつも質問には誠実に答えようとされているだけに、少し意外なご対応だった。