女性皇族は摂政になれる

摂政には、なれる順番があり、その筆頭が皇太子(皇大孫)で、次は親王・王と男性皇族が想定されている。

しかし、その次が皇后で、以下皇太后、太皇太后、内親王・女王と続いていく。女性皇族は天皇や皇太子にはなれないが、摂政にはなれるのだ。

日本の歴史のなかで、女性が摂政になった例が一つある。

第14代の仲哀天皇の后、神功皇后が天皇亡き後、およそ70年間にわたって摂政になったとされている。

ただ、この時代の天皇や皇族となると、実在したかどうかも定かではないし、神功皇后は、大正時代までは第15代の天皇とみなされていた。

改造紙幣1円(写真=Mr Coins/CC-PD-Mark/Wikimedia Commons

女性の摂政は希有なことにもなるが、天皇不在で、男性皇族がいなければ、女性皇族が摂政となり国事行為を果たすしかないのである。

こうしたことを踏まえると、皇位継承の安定化ということでは、男性皇族の確保も重要だが、女性皇族の確保もそれに負けず劣らす重要なことなのである。

「女性宮家」の設立が唯一の方策

現在女性皇族は12名である。天皇家に上皇后を含めて3名、秋篠宮家に2名、常陸宮家に1名、三笠之宮家に4名、高円宮家に2名である。

そのうち、独身は5名である。独身の女性皇族は、結婚すれば、皇族から離れていく可能性がある。既婚の女性皇族でもっとも若いのが秋篠宮妃で58歳である。最年長は、三笠宮妃の101歳である。

こうしたところから、独身の女性皇族が結婚した後も皇室に残る「女性宮家」の設立が案として浮上してくるわけである。

皇位継承の安定化の議論において、ほかに出ているのが旧宮家の男性を現在の皇族の養子にするというものである。

旧宮家とは、戦後に日本国憲法と新しい皇室典範が制定された後、皇籍を離脱した11の家のことをさす。ただ、すでに断絶している家が5つあり、もう一つも断絶が見込まれる。

したがって、該当する旧宮家は5つの家に限定される。しかも、皇籍を離脱してから77年の月日が経過しており、そうした家から皇族の養子になる男性があらわれる可能性はほとんど考えられないのではないだろうか。

もちろん、女性宮家が設立されたからといって、安定的な皇位継承が保障されるわけではない。それに、女性皇族と結婚した配偶者や子どもを皇族とするかどうかでは議論がある。

しかし、具体的な方策をほかに見いだすことが難しい状況のなかで、女性宮家の創立に踏み出すことは唯一可能な方策ではないだろうか。一歩先に踏み出すことで、次の一歩が見えてくることは十分にあり得るのだ。