鍛えられるのは太ももの筋肉だけではない
スクワットをするとき、主として働く筋肉(主働筋)は、太ももの前側の大腿四頭筋です。この主働筋以外に、同時に多くの筋肉(協働筋)が使われます。
例えば、股関節を伸ばすために、股関節の伸筋(関節を伸ばす筋肉)である大殿筋とハムストリングスを使います。
さらに、体幹を安定させておくのに、脊柱起立筋も使います。負荷が強くなると、腹腔を締める必要がありますから、複数の腹筋群や、おなかの奥にある深層筋(大腰筋)も使う必要があります。さらに、足の関節を伸ばすためにふくらはぎの筋肉(腓腹筋)、首を固定するために僧帽筋も働きます。
全身運動に近い「エクササイズの王様」
全身の筋肉の約60%は下半身にありますが、スクワットでは、このように下半身だけでなく、全身の多くの筋肉が関わり、複合的に動きます。
言い換えれば、スクワットは、多くの筋肉群を総合的に強化できるきわめて全身運動に近い運動です。
スクワットが「キング・オブ・エクササイズ」と呼ばれる理由はここにあります。
そのうえ、スクワットは種類が豊富です。運動不足を実感している中高年や、足腰が弱りつつある高齢者が、いざ筋トレを始めようとしたときにも、現在の自分の筋力に合わせたやり方でスタートできます。
筋力がある程度ついてきて、トレーニングの強度を上げたい場合も、フォームやスクワットの種類を変えるなどによって、それが可能です。
こうした点から、筋トレ初心者の方にまずいちばんに勧めたいものであり、同時に上級者の要望にも対応できるものが、スクワットといえるでしょう。