安い店ほど独自ルールでトラブルになりやすい

独自ルールでトラブルになりやすいのは、ラーメン店や居酒屋のようなカジュアルな飲食店だ。顧客層が老若男女と幅広く、あらゆる価値観の客層がウォークイン(非予約)で突発的に訪れる。あまり外食をしない客も利用するので、店の“性格”を知らないことが多い。そこで独自ルールを提示されて面食らった客が、その出来事をSNSで発信した結果「勝手な店だ」と炎上する――という流れが多発している。

また、なかには、1円でも安く済まそうとするコスパ至上主義者、飲食店を無料の井戸端会議の場所と考える特殊な層もいる。カジュアルな店のほうがファインダイニングよりも飲食店としての立場が弱いので、カスタマーハラスメント(カスハラ)も起きやすい。

その対策として独自ルールをよりきつくしたりマナーを厳しく注意したりした結果、さらに炎上事案が発生しやすくなっているという背景もある。

逆に、ファインダイニングや予約困難店が炎上することはあまりない。なぜなら、訪れる客は金銭面で比較的余裕がある上に、事前に下調べしていることも多く、店の性格を把握しているからだ。せっかく高いお金を支払うからにはできるだけ満足したいという想いもあるので、不満を抱きにくい傾向にある。

店と客の間の意識のギャップがSNSで拡大した

飲食店の独自ルールは自分たちを守り、店としてさらなる高みを目指すために定められているが、それが一般的には「独善的」「偏屈」「横柄」などと受け止められがちだ。店と客の間に存在するそうしたギャップがSNSを通じて強調され、より目につきやすくなった結果が、ここ最近の“独自ルール論争”といえるのではなかろうか。

それぞれの飲食店が持った個性だと受け止めて、そうした独自ルールとの一期一会も楽しんでもらいたい。

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