メダル数の増加は女子種目、新競技など競技種増加の影響

データからはこのように日本のメダル数は大きくは徐々に増加して来ている傾向が見て取れるが、オリンピックの競技数自体が女子種目の追加や新競技の導入などで、だんだんと増え、それにともなってメダルの授与数が増えている要因で日本のメダル数も増えている側面もある。そうであるなら、過去の実績と比べると言ってもそのままでの比較では過大評価であることになる。そこで図表2では世界全体のメダル数に占める日本のメダル数の割合の推移を図表2に掲げた。

これは世界の全部でメダルが100個だったとしたら、日本のメダル数は何個だったかを図示したものである。GDPの推移は名目推移とこれにインフレ率をあてはめ実質化した実質推移とが両方、発表されるが、メダル数も実質メダル数というべき値の推移を算出している訳である。

これを見ると、メダル数割合では、1964東京大会の場合、金メダル数9.8%、5.8%で過去最高だったことが分かる。金メダル数、メダル総数が海外開催大会最多だった2024パリ大会の場合、金メダル数6.1%、メダル総数4.3%と前回東京大会だけでなく、1968メキシコシティー大会、1972ミュンヘン大会をも下回っており、海外大会最高とは言えない。

メダル数割合の推移の特徴としては、一度、1964東京大会前後まで上り詰めた増加傾向が、その後、落ち込んでいき、20世紀末のバルセロナ大会、アトランタ大会を底に、再度、V字回復の傾向をたどって来たと言えよう。

ただし、少子化に伴う人口減にともなって人口の世界シェアが縮小していくことを考え合わせると、今後、高度成長期の勢いの中で頂点を迎えた1964東京大会を越えるのは難しそうである。