他の古着ショップでは値段やブランド別には分かれていなかったため、30ドル、50ドルのファストファッションの中に、突然100ドルを超えるブランド物が現れることもあった。ちょっとした宝探しのようなおもしろさはあるが、予算に限りのある客や、お目当てのブランドが決まっている客にとっては探しにくいだろう。

しかし、この陳列方法ならば、突然高額な商品を引き当てることもなければ、お目当てのブランドを探し回ることもない。どちらが客にとって利便性が高いかは一目瞭然だ。

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きれいに並べられた古着。ブランドごとに並んでいるため、客が目当ての商品を探しやすい。

ならばなぜ、他の店でもその陳列方法を採用しないのだろうか。店内の様子をしばらく観察していると、その理由が見えてきた。

周りを見渡すとスタッフが声をかけてくれる

アメリカでは、日本のように自分で広げた服を元に戻す客は少ない。

様子を見ていると、観光客らしい若い女性グループが床に座りこんで商品を広げた後、そのまま商品を放置して移動した。日本ではまず見かけない光景に、カルチャーショックを受けた。なるほど、他の古着ショップで見た服の山はこうやってできるのかと、腑に落ちた。

すぐにスタッフが駆け付け、散らばった古着を拾い集めた。

しかし、同じTシャツでも、同じ棚に戻せばいいわけではない。シュプリームはシュプリームの棚に、ノーブランド品は奥の低価格帯のTシャツの棚にと、それぞれ戻さなければならない。要するに、客にとってわかりやすい陳列は、その分スタッフ側の手間を増やすのだろう。

スタッフの数も、他の古着店よりかなり多く配置されている。それほど広くない店内で、マネキンの服を着せ替えている人、服を元の棚に戻している人、そしてレジカウンターの奥にも3、4人のスタッフがいる。前に訪れたジェットラグでは、広い店内でレジ周り以外でほとんどスタッフを見かけず、試着室を探すのに苦労したが、ここでは周りを見回すようなそぶりをすれば、誰かが必ず声を掛けてきた。

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他店よりもスタッフが多く、丁寧な接客が印象的だった。

ノアさんに、店の査定方法について聞いてみた。

「メルローズ店ではストリートファッションブランドを特に多く扱っているため、各ブランドがいくらで売買されるかを毎日見ています。また、オンラインでの取引価格も参考にしていますね。例えば、シュプリームのTシャツがオンラインで60ドルだったとします。うちでは59ドルで出すこともあれば、状態によっては39ドルにすることもあります。本当に物の状態や状況によって、現場で臨機応変に値段を決めているんです」

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高額な古着は最上段に並んでいた。

米セカストでは買取価格をスタッフの裁量で決める

ノアさんによれば、現在メルローズ店には日本のブランドも含めて8000点以上の商品があるが、その95%以上が現地で売買された古着であり、現在では日本から補充した商品はほとんどないという。メルローズ店には観光客が多い。購買欲も高く、ファッションに対する許容度も広いため、尖ったセンスの服も扱っているという。

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店内には8000点以上の商品があるという。これらのほとんどがアメリカで調達した中古品だ。

次に訪れたロングビーチ店では、観光客よりも地元客が多い。平均的な服が選ばれやすく、顧客単価もメルローズより低いという。店の周辺には銀行や美容院、カフェなどが並び、ラフな服装の女性が大きな犬を散歩させていた。