無駄な動きはやめ、タイムパフォーマンスを意識
嫌いな人に対する一番やっかいな問題は、「距離を置きたい」という本心での心の距離(=理想)と「距離を置けない」という実際の距離(=現実)に、大きなギャップがあることです。
現状をなんとかしたいと思いつつ、本心では相手と距離を置きたいので、「あなたのために、なぜ自分が動かないといけないの?」という本音が残り続けます。
本当は努力したくないけど、現状は変えたい。
そこで、嫌いな人への効果的な対処法は、いわばタイムパフォーマンスを重視して、必要最低限の行動で結果を出すことです。
本当は動きたくないのですから、無駄な動きはやめたいですね。
「動くだけの根拠や理由があれば、仕方がないから動いてやってもいいよ」というのが本音です。
だからこそ、即効性のある具体的なテクニックを使ったり、相手のためではなく、自分のために動くのが、嫌いな人との賢い付き合い方なのです。
嫌な人には反撃せずに、「自己効力感を上げるチャンス」に変える
自分に害を加えてくる人には、「そういうあなただって!」と反撃したくなりますし、自分が受けた被害は人に話したくもなりますね。ただ、これを人に話してしまうと、悪口と受け取られる場合もあるからやっかいです。
悪口は印象を悪くし、信用をなくすので、自分を下げてしまう行為でもあります。
嫌いな人のために、自分を下げる必要はありません。
とはいえ、やられっぱなしも悔しいですね。
相手のために行動するのもバカらしいので、逆に自分を高めるチャンスに変えましょう! 具体的には「自己効力感を上げるチャンス」にするのです。
ここで「自己効力感」について説明します。「自己肯定感」と似ていますが、違う概念です。
「自己効力感」は、カナダの心理学者アルバート・バンデューラによって提唱されました。「自分が必要な行動を取って、結果を出せる」と考えられる力のことです。
簡単にいうと「自分には能力がある」と思えるなら、自己効力感が高い状態です。
これに対して、「自己肯定感」とは、自己を尊重し、自身の価値を感じることができる、「ありのままの自分」でいいと思える力のことです。
さて、この自己効力感は次の3つのタイプに分類することができます。
社会的自己効力感 ……対人関係における自己効力感です。気難しい人や初対面の人を目の前にしたときに「この人とうまくやれそう」と思える感覚です。
学業的自己効力感 ……学習に関する自己効力感です。「自分なら理解できそう」という感覚です。