2歳児の半数以上がスマホを与えられている

アプリの使用は、寝かしつけの時だけでなく、子どもを泣き止ませる際にもよく使われているという。“泣き止みアプリ”と呼ばれるもので、日常の中のいろんな音(ドライヤー音、親の呼びかける声、掃除機の音、洗濯機の音など)が入っていて、それを聞かせることで注意をそらし、泣き止ませる仕組みだ。

「困るのは、寝かしつけアプリにしても、泣き止みアプリにしても、それらに慣れてしまうと、別の何かでは寝たり泣き止んだりしにくくなることです。アプリを見せればすぐに泣き止むのに、保育士が抱っこしてゆさぶっても泣き止んでくれない。子どもの扱い方が大きく変わりつつあるように感じています」

子どもたちが極めて幼い頃からスマホに慣れ親しんでいるのは、周知の事実だろう。

ベビーカーに座っている赤ちゃんや、親の電動自転車の後ろに乗っている子どもがスマホを見ながら移動する光景はごく日常になっている。最近は、ベビーカーや車用ベビーシートに、スマホホルダーが取り付けられていることも珍しくない。

日本の子どもは何歳頃からスマホを利用しているのか。

こども家庭庁の「令和5年度青少年のインターネット利用環境実態調査報告書」に、子どものインターネット利用率が出ている。スマホやタブレットでネットを閲覧するようになる年齢だ。

これによれば、利用率が58.8%と半数を超えるのは2歳だ(0歳で15.7%、1歳で33.1%、保護者による回答)。

2歳といえば、ようやく言葉らしい言葉を発しはじめる年齢だが、その時には半数以上がスマホやタブレットを日常的に使用している。もっとも2歳でもしゃべれない子もいるので、そういう子は言葉を話すより先に、それらを使っているのだ。

1歳児の半数以上が「スマホの見過ぎ」

気になるのが、子どもたちの「スクリーンタイム」だ。スクリーンタイムとは、スマホ、タブレット、PCなどを通して画面を見ている時間のことである。

前提として述べておくと、WHO(世界保健機関)が定めたガイドラインでは、1歳未満でのスマホなどの閲覧は推奨されていない。つまり、見せるべきではないということだ。1~4歳に関しては、1日1時間未満が望ましいとされている。

では、日本の1歳児がスマホを見ている時間はどれくらいなのだろう。東北大学東北メディカル・メガバンク機構の栗山進一教授らの論文「Screen Time at Age 1 Year and Communication and Problem-Solving Developmental Delay at 2 and 4 Years」には、次のような結果が出ている(2023年)。

1歳児のスクリーンタイム
1時間未満 48.5%
1~2時間未満 29.5%
2~4時間未満 17.9%
4時間以上 4.1%

これを見る限り、1歳児の半数以上が、WHOがガイドラインで示したスクリーンタイムを超過している。

ちなみに、スクリーンタイムが長くなっているのは、幼児だけではなく、成人も同じだ。調査によって多少のばらつきはあるが、20代、30代のスクリーンタイムは5時間を超えるとされている。大人のスクリーンタイムが、幼児のそれに影響を与えているという見方もできるだろう。