「完全栄養食」としてブームに

ケールのほかにアブラナ科の野菜で代表的なものに、キャベツ、白菜、大根、かぶ、ブロッコリー、カリフラワー、菜の花、小松菜があります。

日本では、数年前からブロッコリーの栄養素が注目され、「完全栄養食」などと言われ、空前のブロッコリーブームになっています。

ブロッコリーの食用部分は集合した花蕾からいと茎ですが、成長段階ではケールと見分けがつかないほど似ています。

ブロッコリーは、野菜の中でもタンパク質が多く、ビタミンCやβカロチン、鉄分なども豊富に含んでいます。

しかし、注目すべきはそれだけではありません。

がんや炎症の予防に有効

例えば、皆さんはブロッコリーを噛んだとき、少しほろ辛さを感じたことはありませんか? これは、ブロッコリーだけでなくケールや他のアブラナ科の野菜でも同様に感じられる辛味です。

アブラナ科の野菜に含まれる「グルコシノレート」は、刻んだり噛んだりしたときに酵素が働き、辛味成分に変化する化合物です。この「グルコシノレート」は、ホルモンの代謝を変え、がん予防や炎症の予防に有効ということが、様々な研究からわかっています。

写真=iStock.com/Oleksandr Hrytsiv
がんや炎症の予防に有効(※写真はイメージです)

理化学研究所では、アブラナ科の野菜の研究で「グルコシノレート」を作るための鍵となる遺伝子PMG1を世界に先駆けて発見しました。

梅田みどり『野菜ビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)

これによって、野菜の「グルコシノレート」量を調節できるようになるというのです。

「グルコシノレート」を増やして、健康にいい野菜を作れたり、「グルコシノレート」を含む野菜の細胞からがんの予防薬を大量に作れることも可能になるのです。

将来的には、アブラナ科の野菜だけでなく、様々な野菜でもがん予防成分を作ることができれば、野菜を食べながらがんの予防をすることができるようになるかもしれません。

個人的には、アブラナ科の野菜を食べ続けるごとに健康効果を実感しているので、今後も目が離せない野菜のひとつです。

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