上位のサイトほどポイント還元率が低い

次に還元が多いのが3位でソフトバンク系列のさとふるです。冒頭の例はあくまで1日だけのキャンペーンで、7月は「最大24%」というのがキャンペーンの内容です。ここでも気を付けるべきは「最大」という言葉で、この数字は一部のカテゴリのお礼品を選んだうえで抽選で1等が当たった人だけです。

さとふるで確実に高ポイントが還元されるのは「さとふるの日」と呼ばれる3か8の日に寄付をすることで、ゴールド会員(一度でも寄付した人はなれる)でPayPayのランクも上の人の場合、PayPayの還元率を含めて8.5%の還元率というのが実態です。

おもしろいことにポイント還元率は上位のサイトに行くほど少なくなります。楽天の場合は個々の会員のステータスによって大きく変わりますが、私の場合は7.3%(表示は7.3倍)です。そして業界トップのふるさとチョイスが一番ポイント還元率は低いのです。

なぜそうなるかというと、要するに競争が起きているのです。下位のサイトは上に行きたいので収益の大半を利用者に還元してでも利用者を増やそうとします。一方で上位のサイトは無駄に競争を拡大して利益が減るのは避けたいので、還元率を抑えます。つまりポイント還元率は集客のための広告宣伝コストなのです。

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ふるさと納税市場の拡大ペースががくんと落ちる可能性

では総務省の告示どおりにこのポイント還元競争が止められたらどうなるのでしょうか。

そうなると確実に起きることは、現在の業界順位が固定されます。競争はなくなって、利用者も「他にもっと還元率がいいサイトがあるんじゃないか?」とスイッチする理由もなくなるので、順位はいまのままで固定されます。

同時にポイント還元につられて新たに寄付をする初心者も減るかもしれません。これも私の周囲の話ですが、毎年12月31日は高齢の母の家に一族が集まって夕食を一緒にするなわらしがあります。そしてこの日がふるさと納税の最終日です。一族の誰かが「ふるさと納税やらなきゃ」と言い出すので、その場の何人かがあわててスマホをいじりだします。要するに権利があってもふるさと納税しない人は結構いるのです。

そういった人が「今、ふるさと納税すると返礼品だけじゃなくてポイントもざくざくもらえるらしいよ」と耳にするから、ふるさと納税市場が拡大してきたと考えると、そのインセンティブがなくなればふるさと納税市場の拡大ペースはがくんと落ちる可能性は十分にあるでしょう。