米、中、欧州にはない日本の強みとは
次世代チップの製造に不可欠な超高純度の半導体部材、製造装置分野の企業もわが国に集積してきた。それは、米国、中国、欧州と異なる。米国や中国も半導体分野の支援策を拡充しているが、人材やサプライヤーの不在はボトルネックだ。TSMCが熊本に第2工場を建設し先端半導体の製造を目指すのは、そうしたボトルネックの解消に台湾国内でも時間がかかるためだろう。
半導体の微細化などを支える要素技術面で、わが国の比較優位性は高い。微細、精緻な国内企業の製造技術とIBMなどが持つ最先端のチップ開発力を結合することで、ラピダスがAIチップの供給力を高め、世界の需要を取り込むことは可能だろう。
ラピダスの成長は、わが国の半導体サプライチェーンの強化、自動車、電機、エネルギーなど幅広い産業界にもプラスの影響をもたらすと予想される。政府保証でラピダスの製造技術向上ペースが加速することは、中長期的なわが国経済の実力に欠かせない要素となるはずだ。