ボーイズクラブの(屁)理屈は、もう通じない

フランス国歌「ラ・マルセイエーズ」は、中学から入った「外部生」のわたしも、ほどなくして歌えるようになったし、同級生は、ひねくれたわたしを、やさしく認めてくれてきた。いまも多くのクラスメイトと交流がある。

本稿で挙げた諸先輩方だけではなく、Wikipediaを見ればわかるように、錚々たるOBがいくらでもいる。

元・博報堂の三浦崇宏氏や、元・経済産業省のキャリア官僚・宇佐美典也氏といった、わたしよりもはるかに活発で、世の中に貢献している後輩もおり、暁星OBであることは、わたしにとって身に余る。

1888年創立以来、さまざまな分野に多彩な才能を輩出してきた歴史は、ここで語り尽くせるものではないし、また、根本的に「病」があるわけでもないだろう。

ただ、香川氏のセクハラにせよ、市川氏の事件にせよ、「男子校のノリ」、というか、「ボーイズクラブ」だから甘く見てもらえる、守ってもらえる、という(屁)理屈は、もう通用しない。

たとえ、その「ノリ」が、細やかな気遣いに支えられたものだったとしても、コンプライアンスと透明性が重視されるなかでは、暗黙の了解は、避けられこそすれ、尊ばれるものでは、ない。

言わぬが花、という慣用句は、江戸期の浄瑠璃が由来とされるが、もはや、そんな悠長なことは言っていられない。

「ノリ」を阿吽の呼吸でわかる人だけで固まるのは許されず、説明責任が声高に求められるなかで、甘やかされてきた、わたしたちのような男子校出身者、なかでも「お坊ちゃん」と言われてきた暁星OBたちは、どうやって生きていけば良いのだろうか。

(*1)「超ヒット『半沢直樹』の顔芸は名門カトリック系暁星高校の男子校ノリが生み出した 北大路欣也、香川照之、市川猿之助…」プレジデントオンライン、2020年8月14日9時00分配信
(*2)「市川猿之助容疑者を逮捕 “週刊誌報道がきっかけ” 趣旨の説明」NHKニュース、2023年6月27日16時24分配信
(*3)椿姫彩菜『わたし、男子校出身です。』(ポプラ社)
(*4)「椿姫彩菜が後輩?」ツルの一声 モト冬樹 オフィシャルブログ、2017年3月13日配信
(*5)「名門『暁星学園』で起きた刺傷事件、友人関係の悪化か」デイリー新潮、2016年10月28日配信

関連記事
「少子化で日本が滅びる」は絵空事ではない…「ビリギャル」の2回目の離婚がネット民の関心を集めた理由
なぜ「つばさの党」は逮捕ではなく、警告なのか…「選挙妨害は逮捕しろ」という主張に決定的に欠ける視点
「年間学費200万超」英語ペラペラであえて日本の大学進学…全国で続々新設「インター校」のメリット・デメリット
40年続いた"諭吉消滅"まであと50日…「1万円札を替えるな」「1万円札は永遠に福澤先生で」慶應OBOG最後の抵抗
銀座ママが「LINEを交換しよう」と聞かれたときに必ず使う"スマートな断り文句"【2021編集部セレクション】