「中道的な保守勢力の連携」が不可欠

選挙制度が現行の小選挙区制の下では、本格的な多党連立政権は望めないだろう。小選挙区制は相手候補よりも一票でも多く獲得すれば勝ちとなることから、大衆迎合型ポピュリズム政治に陥りやすい点が弊害として指摘されている。

渡辺恒雄『自民党と派閥 政治の密室 増補最新版』(実業之日本社)

渡辺氏が志向したのは、ポピュリズムでなく一党独裁でもない、中庸で安定した政策・政権運営による国民生活の向上だ。

立憲民主党などリベラル政党が、現実主義を取り入れて保守中道の道を行き、国民の支持を取り戻すのがベストであるが、その可能性は低いと言わざるを得ない。自民党内や党外の保守陣営にも、極端な右翼的主張が散見され懸念される。与党、野党の政策が全く逆の方向を向き、かつ与野党が伯仲、ないし、ねじれることによる国政の停滞が最悪のシナリオだ。

現在の衆院議員の任期は2025年10月。2024年中にも行われるであろう衆院総選挙では、もちろん政党間で政策を競い合うことは重要である。しかし、選挙後は、国民のため、安定した政権運営が欠かせない。選挙を行った結果、対立が激化して政権が不安定化しては、少子高齢化など様々な懸案が山積する日本や国民にとって最も不幸な展開となる。

渡辺氏の年来の主張に照らし合わせたうえ、中長期の日本の政権運営を展望すれば、自民と立憲民主など野党勢力の双方から両極にいる政治家を排除し、中道的な保守勢力が連携することが、安定的な政権を築くうえで不可欠となるのではないだろうか。

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