中国系スーパーヒーローのマーベル映画が中国で上映禁止に

北米に続く世界第2位、年間約1兆円の興行収入を誇る中国の市場を獲得するため、また中国の投資家を怒らせないために、自己検閲をするようになったハリウッド。2021年には中国系スーパーヒーローを主役にしたマーベル映画『シャン・チー』、中国人監督を起用した『エターナルズ』を製作したものの、なんと、2本とも中国で公開されなかった。

『シャン・チー』では、中国系カナダ人、シム・リウが演じる主役の父親のキャラクターがステレオタイプ的、『エターナルズ』ではクロエ・ジャオ監督が過去に中国政府を批判していたことが問題になったという見方が強い。

『SHOGUN』を含む、さまざまなハリウッド映画でプロデューサーとして長年活動してきた宮川絵里子氏は2005年から2008年まで北京に住んでいたが、当時は「開いた中国市場に対するハリウッドの視線も熱く、バブルのような時期でした。ある意味、黄金期だったのかもしれません」と振り返る。

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中国で撮影された『君のためなら千回でも』(2007年)の製作時には、「豊かで多様な地理的特性と手堅い映画制作産業をフルに生かした画期的な作品」と“中国の底知れないポテンシャル”を感じたという。だが、ハリウッドと中国の蜜月は2017年のマット・デイモン主演作『グレイト・ウォール』までしか続かなかったようだ。

それはおそらく、2019年に中国共産党の創立70周年を迎えたのを機に、中国が検閲制度をますます強くしていったからだろう。

2024年3月にNetflixから配信された中国の小説を原作としたSFドラマ『三体』は配信直後にNetflixランキングで世界1位になったが、文化革命をネガティブに描いたとして中国では配信禁止となった。三体は2006年にリウ・ツーシンがSF雑誌に連載した長編小説で、中国で最も売れたSF小説だが、2024年の現在なら、そもそも出版されたかどうかも怪しい。