ファームジョブで数年の滞在も可能に
ワーホリは、多くの国が滞在期間を1年間としている。カナダ、ニュージーランドなどがそうだ。だが、オーストラリアは最長3年まで過ごすことができる。
一定条件を満たすことで、2年目も滞在できる「セカンドワーキングホリデービザ(セカンドビザ)」、3年目も滞在できる「サードワーキングホリデービザ(サードビザ)」の申請が可能なのだ。
端的にいえば、ワーホリ1年目に特定の仕事に約3カ月(88日間)従事すれば、2年目の滞在が可能になる仕組み。また、ワーホリ2年目に6カ月間従事すれば、3年目の滞在が可能になる。
例えば、地方都市での農業や農業関連の仕事(ファームジョブと呼ばれる)に就く。バナナやイチゴ、林檎などのフルーツ、トマトやパプリカ、アボカドなどの野菜の収穫(ピッキング)もそのひとつだ。
NHKの番組では「ブルーベリー摘み」について紹介しているが、これこそまさにファームジョブだったのである。
人手不足を解消する合理的なシステム
もちろん「英語も話せないし、ずっとブルーベリー摘みでいい」と考えていた人もいたのかもしれないが、多くは「セカンドビザ」「サードビザ」を取得するために来ていた可能性が高い。そうすれば、2年、3年と滞在を延ばせるからである。
つまりは、がんばってくれたご褒美に翌年のビザがもらえる、というわけなのだ。ファームジョブ以外にも、果物や野菜をパック詰めする仕事や肉の加工場など食関連から、オペアと呼ばれる地方の家庭での家事手伝い、リゾート地でのサービス業(真珠養殖といった変わったものも)、建設現場での仕事など、条件を満たす仕事はさまざまにある。
現地のワーホリの間では、そのための情報が飛び交っている。どこで、何をするのがいいのか、どんな仕事が魅力的か、などだ。ファームジョブの募集は、政府のウェブサイトでも公開されている。
それにしても、自国ではなかなか人が集まらない仕事をやってもらうことで、翌年のビザというご褒美を出すわけだ。人手は確保され、働き手は稼げる上にビザがもらえる。これまた、なんとも合理的なシステムである。