偽造カードが横行し約700億円が“裏の世界”に流出

1995年、警察庁はパチンコにプリペイドカードの導入を図った。現金商売で、収入や支出が捕捉できないパチンコホールの収支を把握することを目的としていた。パチンコ店の収入が海外に流出しているのではないかと考えられ、それを防止するという意図があった。

しかし、その過程で、警察庁は二つの誤りを犯した。

第一は、導入の立役者の警察キャリアがその誤りを認めているように、犯罪を取り締まるはずのカードが犯罪の温床となり、700億円近い金が闇の世界へと流れたとされる。つまり偽造が容易なカードを導入し、偽造カードが出回ったということである。偽造カードの使用は、パチンコ店にとっては、懐は痛まず、むしろ売り上げを伸ばすだけである。カードによって利用された料金はカード会社に請求しさえすればいい。規制するためのカードの導入がかえって、巨額の犯罪を生むことになった。

警察庁の音頭取りでカード会社の設立に参加した三菱商事は、多額の損失金を計上して撤退した。カード会社は統廃合され、別の業者が運営して、現在に至っている。

ギャンブル性が高すぎた「四号機」

第二に、カードの導入において、導入されるカード読み取り機の費用負担の問題が生じた。カード読み取り機能を持った機種――CR機と呼ばれる――を導入させるにあたって、高額となるその機種の費用をパチンコホールが捻出できるようにするために、現金機ではなく、カード読み取り機能を持ったCR機の当たりの確率を高めることが黙過もっかされた。

一攫千金の大当たりを狙って多額の金を注ぎ込む客を引きつけた。CR機の導入は1992年頃に始まったが、97年にCR機として射幸性の高いパチスロ四号機が導入された。その際、CR機すなわちプリペイドカード仕様のパチスロ機を普及させるために、CR機の当たりの額を高く設定し、連続して多額のコインが出るように設定したパチスロ四号機が保安通信協会(保通協)の検査を通ったと言われている。

CR機の利用者は、数万円の投資で20万円程度を儲けることは珍しくなく、一日で100万円も儲かることがあったと言われている。だが、あまりにギャンブル性が高かったため、撤去することになった。2007年9月にようやく四号機の撤去が完了した。

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この間、2002年には、最大手のパチスロメーカーの一つであるアルゼ――現在、ユニバーサルエンターテインメント――に、警視総監であった前田健治が顧問として就任している。2004年には、同じくアルゼに元中国管区警察局長であり国会議員の阿南一成が特別顧問として迎えられ、その後、時を経ずして社長になった。

ただし、一年四カ月足らずにして、耐震偽装問題へ関与したとされたことから辞任するに至った。