「パチンコの換金は知らない」と答弁する警察官僚
しかし、その人物でさえも天下りは「後輩に面倒をかける」という理由で、退職後の進路のなかで最もしたくないものとしている。だが、天下りは当たり前のように行われている。
天下りにあたっては、現在の年収と同等またはそれ以上の収入が与えられることが前提とされているように言われている。公社、公団ならずとも、所管の法人や関係諸団体に天下ることの意味するところは、出身官庁のコネを利用して、所属団体に有利な便益を取り計らってくれることが天下り先からは暗黙裏に期待されているということだ。
今では、退職の直後に関連企業に天下ったり、役所が天下り先を直接斡旋することは禁止されたが、その網の目をかいくぐって、規則に違反しない方法で行われている。
朝日新聞に、次のような記事が掲載された。
日本オリジナルの大衆娯楽・パチンコに換金行為はあるのか、ないのか。そんな議論が今、政治の世界で熱く交わされている。
◆官僚答弁に議員うんざり
「パチンコで換金が行われているなど、まったく存じあげないことでございまして」と警察庁の担当官。「建前論はやめましょう」。うんざり顔の議員ら。(2014年8月26日)
この警察庁の担当者の答えは、現在に至るも変更されることのない警察庁のパチンコについての公式回答である。
出玉が換金されていることは誰でも知っているが…
この記事の続きには、「しかしパチンコの出玉が換金されることを知らない日本人は少ないだろう」と書かれている。いや、それどころではない。ほとんどの日本人は、パチンコの玉やパチスロのメダルが換金されることを知っている。
パチンコ店にパチンコやパチスロをしに行くほとんどすべての人は、ギャンブルであることを認識しており、金銭の獲得を狙って打ちに行っている。このことは、パチンコとパチスロなどの機械の製作メーカー、ホール経営者、さらにパチンコ・パチスロ――以降、特に区別する必要がない場合は「パチンコ」と記載する――に関連した最も包括的な団体である日本遊技関連事業協会(日遊協)でさえも認めていることなのである。
すなわち、『日遊協の30年 パチンコ・パチスロ産業の豊かな未来へ』(日遊協30周年事業委員会編、日本遊技関連事業協会、2019年)には、2002年当時の状況として、「ホールでの状況が射幸性にますます傾き、事態を悪化させてしまった」とし、「パチスロについてネット上に「5万枚(100万円相当賞品分)出た」「6万5千枚(同130万円相当)のケースもあった」など信じられないような情報も飛び交った」(136頁)と記述している。