「働く人」はこれから二極化していく

つまり、AIロボットに置き換わるのは、時給800~8万円の幅広いゾーンのうち、普通の会社員や公務員の領域、もっと言えば「情報処理的」な仕事です。

では、今後どう変わっていくのか。

図表1の中央が割れて左右に分裂し、コモディティ会社員とレアカード仕事人の2つに収斂していくことになるでしょう。

今は時給3000~5000円の「上質な普通の仕事」をしていても、じっとしていると、やがては限りなく時給800円に近づいていきます(もちろん、インフレが加速し、労働力の需給が逼迫して最低時給が2000円になることも考えられますが、最低レベルであることに変わりありません)。

いっぽうで、時給8万円のゾーンに向かうこともできます。そのキーワードこそ「希少性」です。希少性を有していればレアカード仕事人、図の右側に向かうことができます。

希少性は、仕事の成功だけを意味するわけではありません。

希少性があればコミュニティで豊かな人脈も作れるし、SNSでファンやフォロワーがつきます。たくさんの味方を得て、自分のビジョンに近づくことができるのです。

逆に、「上質な普通の仕事でいいや」と考えたり、会社のブランドに頼ってコモディティ会社員化していると、会社をやめた途端に寂しいことになってしまいます。

時給では換算できない価値もある

もちろん「時給」だけが、仕事の価値ではありません。

時給を問わないボランティアは、尊敬に値します。また、起業家やスタープレーヤーは社会に大きな価値をもたらすという意味で、時給という尺度を超えた存在です。

仕事の内容が時給を決めるわけではないことにも気づいておく必要があります。

たとえばプログラマーには時給2000円から2万円を超える人までいます。庭師も同様です。少ない収入の人もいれば、大きな収入を得られる人もいる。

同じ職業で時給の差を生むものは何でしょうか。

写真=iStock.com/Dilok Klaisataporn
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