日本人の時給には100倍の差がある

図表1は、「日本人の時給」を表したものです。左から右に時給が高くなるのですが、横軸の右側がレアカード仕事人の領域、左側がコモディティ会社員の領域です。

日本人は収入を語る時、年収や月収を使いますが、あえて時給を使っていることには意味があります。

時給とは、収入を労働時間で割ったもの。

同じ年収1000万円でも、月に100時間残業した人と、まったく残業しない人とでは時給は違います。また、収入を増やすために身体や精神を壊してまで働く人がいますが、それでは本来の意味で収入が上がったことにはなりません。時給が上がっていないからです。

戦後70年以上続いた日本の働き方を見直す必要があるのです。

問われるべきは時間あたりの付加価値であり、時間あたりの仕事の生産性を上げること。

図表1を見るとわかるように、日本人の時給には100倍の差があります。具体的には、時給800円のアルバイトと、時給8万円の世界レベルのコンサルタントです。

コンビニ店員より先にAIに置き換わる仕事

中央付近に位置するのが普通の会社員や公務員で、時給3000~5000円です。

私は「上質な普通の仕事」と呼んでいますが、実はこのゾーンがもっともAIロボットに置き換わる可能性が高いのです。この領域はあと10年で半減し、20年でなくなる可能性が高いと思っています。もっと早くなくなる、と語る識者もいます。

時給の安い仕事からAIロボットに置き換わっていくのではないか、と思われるかもしれませんが、時給の安い仕事は、AIロボットよりも人間にやらせたほうが安いのです。

コンビニエンスストアのレジが好例ですが、業務はけっこう複雑です。やるべきことが多く、しかも瞬時に判断しなければなりません。さらに、目の前にいるお客さんの気持ちを汲むことも求められます。基礎的な人間力が問われるのです。

これらを実現するAIロボットは、コストが高くなります。だから、なかなかAIロボットには置き換わらないでしょう。