日本対応が後回しになっているのではないか
また、これらの偽広告は、広告からLINEグループなどに誘導し、詐欺を働くという形を取っている。著名人を騙ってはいるものの、広告表現自体には違法性が問えないものが多い点も要因となっているようだ。
なお、Facebook Japanにはほとんど権限はなく、プラットフォーム上の広告の責任はメタ社にある。この問題も、日本の著名人をAIでチェックするなどの対応をすれば不可能とは思えず、単純に米国企業であるメタ社の日本対応が後回しになっていると考えられ、それが問題の根本にあるのではないか。だからこそ、冒頭のような被害者本人による提訴や日本政府による働きかけが必要となってしまっているのだ。
メタ社は年間売上高が前年比16%増の1349億ドル(約20兆円)、純利益は前年比69%増の391億ドル(約5兆7000億円)を計上するなど、過去最高益を上げている。この中には、日本の著名人詐欺広告での収益も含まれる。犯罪を見過ごしている責任は問われるべきであり、企業として一刻も早く対応する義務があるはずだ。
中高年は詐欺広告への免疫があまりない
詐欺が拡大している背景には、中高年層へのスマホ・SNS利用の拡大がある。一方で、中高年層はネイティブ世代である若者と比べて、ネットコミュニケーションや広告にはあまり慣れていない。物価高や安い日本が話題になり、投資をしなければという雰囲気が高まっていることも影響しているだろう。
詐欺師側からすれば、低いコストで高額のリターンがあり、身元も辿られづらいため、このような詐欺は増えこそすれ減るとは考えにくい。提訴や規制強化で効果が出るまでは、自衛していく必要があるだろう。
では、被害を防ぐためにはどうすればいいのだろうか。