3000万円の指輪を口に入れた高田純次
「心がない」と言われた高田純次のリポーターぶり(この番組で、芸能界の大御所・清川虹子の自宅訪問で家宝の3000万円というダイヤの指輪を口に入れて大騒動になった話は有名だ)やたけしの鋭いツッコミもあるとはいえ、企画全体のトーンは大真面目。もはや不思議を通り越してシュールとしか言いようがない。
こうした企画を、日曜夜8時というゴールデンタイム中のゴールデンタイムに家族全員がお茶の間で見ている姿を想像してもらいたい。いかに世の中全体が「なんでもあり」の鷹揚な時代だったかがわかってもらえるだろう。
一方で、この番組は素人が主役の企画も多かった。テレビに視聴者参加はつきものだが、この番組に登場する素人はとにかく輪をかけてキャラが濃かった。
全員パンチパーマという「パンチパーマ軍団」を率いていたパンチ相沢会長もこわもてのなかに純情な素の部分が見えて人気者だったが、なんといってもインパクトがあったのはエンペラー吉田だろう。
名物素人が次々登場
エンペラー吉田は、見た目はどこにでもいそうなおじいちゃん。いつも紺地に白のラインが入ったジャージを着ている。変わった特技などがあるわけではない。人柄は実直そのもので、どんな質問にも生真面目に答えてくれる。
だが力が入るあまり、必ずと言っていいほどしゃべると入れ歯が豪快に外れてしまう。むろん計算ではないが、そのあまりのタイミングのよさに思わず爆笑してしまう。
一方で「偉くなくとも、正しく生きる」が座右の銘で、それを体現したような本人の佇まいについ好感を抱いてしまうようなキャラクターだった。
ほかにも全国各地で噂になっている素人を訪ねるコーナーもあった。あの安室奈美恵も、中学3年生で14歳のとき、「沖縄の空手美少女」として出演している。
後の有名人が出ていたと言えば、この番組にヘビメタバンドがフィーチャーされる企画があったのだが、そのなかにX(現・X JAPAN)のYOSHIKIがいたというのも知る人ぞ知るところだ。草野球の企画には、的場浩司が出演していた。
ほかにも「○○予備校」と称したいろいろなオーディション企画があり、そこから俳優の岡田准一や後に世界チャンピオンになるボクシングの飯田覚士などが輩出された。