背中に痛みや違和感が出るケースもある
背部痛、つまり背中の痛みもよくあります。
食事をした直後は消化のためにすい液の分泌が促されるのですが、すい臓がんがすい管を圧迫していると、すい管の内側にかかる圧力が高まってしまい、痛みが出るのです。
特に、「甘いものや脂っこいものを食べ過ぎたときに背中が痛くなる」と言う患者さんを検査してみると、すい臓に異常が見つかることがしばしばあります。甘いものや脂っこいものを多く食べると、それだけ多くのすい液が必要になり、すい管の圧力が高くなるためです。
カフェインやニコチンにもすい液の分泌を促す作用があるといわれています。そのため、コーヒーを大量に飲んだ後、あるいは喫煙時に背中に痛みや違和感を訴える人もいます。
下痢や軟便といった症状はどうでしょうか。これらは、すい臓がんによってすい液の分泌量が減るために起こります。
すい臓が作るすい液には食べた物を分解する消化酵素が含まれているため、それが不足することで消化吸収がうまくできなくなるのです。
「すい臓がんとは限らない」のが厄介
すい臓がんが進行してくると、先ほども触れた黄疸の症状がよく見られます。
すい臓の十二指腸寄りの部分にすい臓がんができると、肝臓で作られた胆汁を運ぶ胆管が圧迫されることにより、胆汁の流れが悪くなって黄疸の症状が出てくるのです。
黄疸というと、肝臓が原因で起きる症状という印象があるかもしれません。肝臓の機能が低下すると、ビリルビンと呼ばれる黄色い色素が代謝できずに、血液のなかにあふれ出てきてしまうのです。
しかし、黄疸はこのようにすい臓がんによっても引き起こされるので注意が必要です。
腹痛や背部痛、下痢など、ここで挙げたような症状は、いずれもすい臓がん以外の理由でも起こることがあります。それが、難しいところです。
お腹や背中が痛くなっても、「すい臓に異常があるんじゃないか?」と思う人はまずいません。なぜなら、すい臓はあまりなじみのない臓器だからです。胃や腸などの問題を疑う人がほとんどでしょう。
そして、繰り返しになりますが、すい臓がんの自覚症状が出るころには、がんがある程度進行してしまっていることが多いので、すい臓がんを早期発見するためには、こうした症状が出る前に検査でチェックすることが必要になってきます。