今でも小学校では「昭和の授業」が続いている

初めての息子の学校公開(いわゆる授業参観)に行ったときの衝撃を忘れられません。

静まりかえったクラス。

先生が板書をすると条件反射でノートに書き写す子どもたち。

児童一人ひとりの主観ではなく「正解」ばかりを問う先生。

ほんの数名が手を挙げ、小さな声で発言し、それに対してまた条件反射で起こる「あってまーす」の応答。

昭和の時代に私たちが受けたものとまったく同じ授業が、30年の時を経ておこなわれていたのです。

世の中はこれほど変わっているのに。

ビジネスの現場では、話す力の欠如によってこれだけ可能性が閉ざされているのに。

「グローバル人材の育成」が叫ばれ、小学校低学年から英語の授業が始まってはいます。しかし、英語力さえつければ世界に通用するわけではありません。英語学習ももちろん重要ですが、その前に自分の意見を伝えられる「話す力」の土台があってこそ生きるのです。

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「話す力」は子どものうちから鍛えるべき

大人と子ども、どちらの現場でも問題意識を持った私。「話す力」は子どものうちから鍛えるべきなのではないか。課題に気づいていながらいま行動を起こさなかったら、死ぬときに後悔するかもしれない。41歳になっていた私はそう思いました。

私の父は46歳で亡くなっています。私が大学3年生のときでした。

「あと5年しか命がないとしたら、私はその5年間で何をするだろう」

そうして始めたのが、子どもたちの「話す力」を育む一般社団法人アルバ・エデュの活動です。前述のビジネスプレゼン大会の翌月から、地元の公民館に子どもたちを集めたプレゼンのワークショップを開始したのでした。その後、公募ではなく学校現場を訪問するスタイルに変わっていき、これまで8年間で4万人以上の子どもたちに授業を届けてきました。