試乗してみて最も驚いたこと

今回、私が試乗したのは、力強いターボエンジンと走行性能を高めた4WDを組み合わせた最上級グレード「Tプレミアム(4WD)」だ。

未舗装路となるキャンプ場内の移動から、市街地と高速道路を走らせた。

昨今、目覚ましい進化を遂げる軽乗用車だけに、乗り心地は良好。背の高い軽スーパーハイトワゴンなのでガラスエリアも広いことから視界も良く、頭上空間にもゆとりがあるので、車内も広い。

性能面でゆとりのあるターボエンジンだけに、市街地での走行でも静かだ。驚いたのは、より条件が厳しくなる高速道路だ。

加速性能にも不足がないだけでなく、静かな上で乗り心地が良いことだ。これならば、趣味の相棒として長距離に連れ出しても不足はないだろう。

最上位の「プレミアム」ならば、高速道路で使える同一車線運転支援機能「マイパイロット」が装備されるので、長距離運転や渋滞時などにドライバーの疲れの軽減も図ってくれる。

後席空間も広いので、荷物をたくさん積んだり、休憩スペースに活用したりと、ギアとしての使い勝手も良さそうだ。

筆者撮影
リアシートを倒せばラッゲジルームはかなり広々。

発売前の予約注文では、全体の58%が4WDを選び、最上位となる「Tプレミアム」が、65%を占めたという。ここからは、多くのユーザーが、遊びや生活を豊かにするギアとしてデリカミニを選んでいることが伺える。

またデリカミニをキャラクター化した「デリ丸」が多くの女性の心を掴んだ。デリ丸グッズが欲しくて、三菱の販売店を訪れる女性や家族がいるという話もあり、PRにも成功している。

筆者撮影
CMでもおなじみの「デリ丸」

三菱自動車の苦しみ

デリカミニは、どういった経緯で生まれたのだろうか。その背景には、三菱自動車の技術者の苦しみがあった。

現在の三菱自動車の軽乗用車は、日産自動車と三菱自動車工業の合弁会社「NMKV」による共同開発だ。開発は、日産側と三菱側の技術者が協力して行い、それぞれの得意分野を活かした体制をとる。このため、部品調達や企画などは日産が、生産は三菱自動車が受け持っている。

日産との協業により、両者の軽自動車の性能や品質が高まり、開発コストも抑えられるなど多くのメリットを生んだ。三菱自動車側としては、両社の全ての軽乗用車が生産できるため、生産性の向上に加え、日産側の製造分の利益もあるため、メリットは大きい。

しかし、ブランド力や販売力の差があるため、例えば日産デイズと三菱ekワゴンなど基本的な構造や装備が同じ姉妹車であっても、販売比率は圧倒的に日産の方が上だ。