治る認知症もある

4大認知症とされる「アルツハイマー型認知症」、「血管性認知症(脳血管性認知症)」、「レビー小体型認知症」、「前頭側頭型認知症」は、まだ治すことができません。しかし、早期に適切な治療をすれば治る認知症もあります。3つの例を挙げます。

外傷性脳損傷がいしょうせいのうそんしょう

交通事故などによる頭部への衝撃や激しい外傷によって、脳機能が低下し発症する「外傷性脳損傷」は、意識喪失やもの忘れ、見当識の喪失、身体マヒなどが現れますが、適切な治療を行えば、症状が軽減することもあります。

慢性硬膜下血腫まんせいこうまくかけっしゅ

佐藤眞一『認知症心理学の専門家が教える 認知症の人にラクに伝わる言いかえフレーズ』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

脳の細い血管が切れ、脳を覆う3種類の膜(外側から硬膜、くも膜、軟膜)のうち、硬膜とくも膜の間に血液がたまり、脳が圧迫されると「慢性硬膜下血腫」が発症します。

転んで頭を打ったり、頭をぶつけたりしてケガをした後など、きっかけはさまざまです。早期に発見し、血の塊を取り除くと治る可能性があります。進行がゆっくりのため、気づかれにくいのが難点です。

特発性正常圧水頭症とくはつせいせいじょうあつすいとうしょう

これは、脳の中にあって、脳を保護している液体である脳脊髄液のうせきずいえきが脳室に溜まりすぎて、脳を圧迫することで起こります。

認知症の症状以外に、尿失禁や歩行障害もよく見られます。早期に見つけ、脳脊髄液を抜く手術をすると、治る可能性があります。

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