集団接種以外で接種者数を増やす方法
毎年、インフルエンザのワクチンの接種のために小児科へ行くのが大変だと思う保護者の方もいるでしょう。「昔のように学校で集団接種をしてくれたらいいのに」と思う人もいるかもしれません。
1962〜1994年まで、日本では小中学校で希望者にインフルエンザワクチンの集団接種を行っていました。90年代はインフルエンザに限らずワクチンに対して懐疑的な人が増えつつある時代でした。副反応に対する訴訟が続いて国側が負けたこともあり、ワクチン行政は必要以上に慎重になっていったのです。その結果、ヒブワクチン・肺炎球菌ワクチンが一時差し控えになったり、MMR(麻疹・おたふく風邪・風疹の3種混合)ワクチンが中止になってMR(麻疹・風疹)のまま、おたふく風邪の単独ワクチンが自費だったり、HPVワクチンが7年以上積極的勧奨されなくなったりしました。そんな国は、先進国で日本だけです。
このように行政が過剰にリスク回避をしようとする中、保護者の付き添いなく、小中学校でインフルエンザワクチンの集団接種を再開することは不可能でしょう。子どもは注射を怖がって逃げ出そうとしたり、迷走神経反射を起こしたりすることがあります。そういった場合や有害事象があった場合、責任問題にもなりかねません。ですから、集団接種ではなく、アメリカのように医師ではなくトレーニングを受けた薬剤師や看護師が、ドラッグストアなどで予約なしでワクチンを打てるようにしたほうが、接種者が増えるのではないかと思います。