大人が刺激を得るコツは「お金」

そして、年齢を重ねた大人が強い刺激を得るための遊びは、往々にして高いお金を払うことも必要になってきます。

お酒がものすごく好きで、安酒でも飲めさえすればいいという一部の人以外は、70歳にもなれば飲むスタイルが変わってきているのではないでしょうか。

和田秀樹『幸齢者 幸せな老後のためのマインドリセット』(プレジデント社)

若いころなら3000円の居酒屋で満足だったのに、年をとると、量は多くなくていいから、もっとうまい酒を飲みたい、もっと高級な料理を食べたいという気持ちが強くなるのではないでしょうか。

ならば、3000円の居酒屋に月に3回行くより、1万円の割烹に1回行くように変えてみてはどうでしょう。

年をとると、若いころのように頻繁に酒を飲みに行こうとは思わなくなるでしょう。たまに行くのであれば、これまでの3回分を1回にまとめて、より贅沢な店を選ぶのです。

満足感が高まれば高まるほど、脳にもそれだけ大きな刺激があることは間違いありません。

「量より質」で自己愛が満たされる

現役時代には、会社の経費で銀座で接待をしたり、ゴルフに行ったりした人も多いと思います。ならば、仕事をリタイアしてからも、自腹で銀座に行ったりゴルフをしてみてはどうでしょう。

もちろんそれなりの金額がかかりますが、自腹で遊んでこそ強い刺激を受け、本当の意味で楽しむことができるのだと思います。

旅行にしても、これまで利用していたありきたりの場所へのリーズナブルなパック旅行は止めて、刺激的な場所に高額の旅費をかけて行くのです。観劇やスポーツ観戦にしても、これまでの席ではなく、1ランク上の席に座ることで、より強い感動を得ることができるでしょう。

量より質を求めることで、満足感を得るとともに、社会の第一線から退いたと感じている高齢者にとっては、よりリッチな気分になり、自己愛が満たされるでしょう。

自己愛が満たされると、当然ですが幸福感に包まれます。それは免疫機能を高めることにも寄与します。

遊ぶこと、お金を使うことで、脳の老化を遅らせることができるうえ、免疫機能が上がって感染症やがんにかかるリスクも軽減させることができるのです。

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