大阪府の咲洲庁舎は2.7メートル揺れた

最上階では10分間以上、最大で1.3メートルの揺れが起きた。2012年から二つの本庁舎、都議会議事堂は執務をしながら13年間という長期の大改修プロジェクトが、約762億円(長周期地震動対策の制振装置の設置費用約40億円)をかけて2023年現在も行われている。

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都心の複数の高層ビルも設備の転倒や損傷が生じている。約770キロ離れた大阪では震度3の揺れが生じた。湾岸の人工島にある咲洲さきしま庁舎(高さ256メートル)では2.7メートルの横揺れが生じ、天井や壁など約360カ所が損傷。耐震性を懸念した当時の橋下徹大阪府知事は咲洲庁舎への府本庁舎の全面移転構想を断念した。

首都圏が「西で起きる地震」で揺れる理由

この揺れを上回ることになるとみられているのが、南海トラフ巨大地震による長周期地震動だ。内閣府の検討会による推計では、東京、名古屋、大阪の3大都市圏では南海トラフ巨大地震発生時の超高層ビルの揺れ幅は東京23区や名古屋で最大約3メートルと東日本大震災発生時の2倍近くに達し、震源からの距離が近い大阪の一部は最大約6メートルと指摘された。

高層ビルの研究を続ける名古屋大学の福和伸夫名誉教授は「首都圏は、地盤の構造から、西で起きる地震で揺れやすい」として、理由を二つ挙げる。

西日本は「付加体」と呼ばれる海底生物の死骸など海の中のゴミが折り重なるようにへばりついた軟らかい地盤があるため、揺れを通しやすい。さらに首都圏が盆地のようになっていることから、日本海溝沿いの地震より、南海トラフ沿いの「西」の地震の揺れを集める特徴があるという。