重視される就労形態の柔軟性

以前から、フレキシブルな働き方を推奨する国や地域として、北欧がよく例に挙がります。

牛窪恵『恋愛結婚の終焉』(光文社新書)

彼らは公務員比率が高いほか、労働組合が強い、「ジョブ型雇用」が基本であるなど、従業員個々の柔軟性を取り入れやすい土壌や歴史があるため、日本が国としてそれらを一律に取り入れるのは難しいかもしれません。

ですが今回、Z世代への取材を通じ、若者が結婚・出産を含めた未来に希望が持てなくなっている背後には、「仕事の劣化」が強く関係しているのだと痛感しました。

これまで日本では、時短やフレックス勤務といったフレキシブルな働き方は、ほとんどがシニアや女性、とくに結婚・出産後において多く起こる問題として語られてきました。ですが今後は、2025年問題(親の介護)などのほか、多様な生き方、働き方を好むミドルや若い未婚男女の間でも、就労形態の柔軟な変更を求める人が確実に増えるでしょう。

いまこそ若者たちに、仕事の場でも「自分の人生を後押ししてくれる」「柔軟な働き方を認めてくれる」などと感じてもらう必要があるのではないでしょうか。就労上の格差や仕事の劣化を最小限に留めてこそ、彼らも未来への希望や心のゆとりが生まれ、本書で「共創結婚」と呼ぶような結婚・出産にも、少しは前向きになれるはずです。

★提言5:介護や学び直しも視野に入れ、男女とも柔軟な働き方を活用できる社会に
★提言6:結婚に希望を抱かせるような、就労のフレキシビリティを
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