褒めたつもりが気分を害してしまう言い方

①決めつけ褒め

「70代なのにSNS詳しいですね」
「20代(若い)なのに挨拶がしっかりしてるね」
「○○人なのに漢字よく知っているね」
「女性なのに重い荷物を持ってすごいね」

このように年齢・国籍・性別に関する発言は褒めたつもりが、相手の気分を害する可能性があります。

②意外性を褒める

「やればできるじゃん」
「意外に深いところまで考えているんだね」
「さっきの資料、細かく分析されていてビックリしたよ」

このような言い方は褒めたつもりが、裏ではダメだと思っていたと明示しているようなものなので、良くありません。

③上から目線で褒める

「見直したよ」
「感心しました」
「部長、さすがですね」

このような上から目線の言葉には注意が必要です。

特に部下から上司にこのように言ってしまうと、「何を偉そうに」と逆効果になります。

最近では年下上司と年上部下という関係の構図も増えており、部下に対してもこのような言い方はしないほうがいいでしょう。

また、上司や先輩を褒める時は、「企画出すのが得意ですよね」ではなく、「どうしたら○○さんのように企画をどんどん出せるんですか? 何か普段から意識されていることってありますか?」というように質問するといいでしょう。

「教えてください」という言葉は「貢献承認」といって、相手の承認欲求も満たします。

何より「下から目線」なので、相手も嫌に感じないでしょう。

スポーツ界の名選手の多くが「自分からは教えないけど、聞かれたら教えるよ」というようなことを言っていたのを耳にします。教えを請われて嫌な人はいないという証明でもありますね。

写真=iStock.com/Ridofranz
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一見良さそうな「性格を褒める」の盲点

④褒める理由をつけていない

「何でも褒める人」は逆におだてているのではないかと思われます。

理由がない褒め方はおだてになります。

上司「伊藤さん、頑張っているね」
伊藤「はい。(何を言ってるのだ……またおだてか)」

営業「最近、御社すごいですね」
相手「ありがとうございます。(何がすごいのかな……)」

⑤能力や性格を褒める

一見良さそうに見えるのが相手の能力を褒めることです。

たとえば部下の杉村さんに「杉村さんは優秀だからね」と伝えたとします。褒められた側は喜ぶかもしれません。

しかし、仮に杉村さんが何かミスをしてしまった際、「せっかく能力を認められているのに、がっかりされるかな」とミスの報告を隠蔽いんぺいしてしまうかもしれません。

そもそも「仕事ができる」「できない」という区分が明確ではありませんし、これは決めつけになってしまいます。

漠然と一括りにするのではなく、「プレゼンの資料作成が得意だ」「アイデアを出すのが得意だ」など、具体的に細分化していきましょう。

また、性格を褒めるのは一見良さそうに見えますが、本人からすると指摘された内容が嬉しいとは限りません。

上司「○○さんは優しいね」
部下「はい。(言いにくいことを言えないと指摘されているのかもしれない)」

部下「○○課長は話しやすいです」
上司「そうか。(オレ、バカにされているのかな)」

このように逆の解釈をする人もいるかもしれません。

能力や性格は人によって恣意性も入るので基準が曖昧です。

同じような能力なのにAさんは褒めるけどBさんは褒めないといった状態になり、不信感を持たれるかもしれません。

仕事においては行動やプロセスを褒めるようにしていきましょう。

行動にフォーカスすれば、他の人も納得するし、見習おうと考えるでしょう。

「さっきの会議での提案書、非常に良かったよ」
「今月はアイデアを5件も出してくれてありがとう。チームの活性化につながるよ」
「○○先輩、先ほどは営業のクロージングに関してのアドバイス、ありがとうございました」