日本が海外ノマドの移住先に選ばれる可能性

欧州の北部地域は知識産業に注力し、さらに経済成長が見込まれますから富が蓄積し物価はどんどん上がっていきます。

一方、停滞する国は物価も給料も上がりませんから、生活費を圧縮したい人々が住むのには最適な場所になっていきます。

彼らがどういう仕事をしているのかというと、エンジニアやメディア関係者、研究者など、知識産業です。

このような仕事はアウトプットさえ提供できれば自宅作業で問題ないため、リモートワークに向いています。

最近は、ネットフリックスがオフィスでの勤務を奨励したりなど、出勤を求める組織も少なくないですが、一方でコスト削減のためにオフィスの規模を縮小したいという経営者もいるので、成果が見えやすい職種の人はこれからもリモートでの勤務が中心となるでしょう。

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ちなみに私の知り合いだと、よくあるパターンとしては熟練したITエンジニアが半年ごとに国を転々としながら複数のプロジェクトで働いたり、研究者がいっぺんに3カ国の大学に所属し、学期ごとに違う国でオンライン授業をしていたりします。

日本も物価が安い国なので、今後はこうした人たちの移住先として選ばれるようになる可能性もあるのです。

エネルギー料金が爆上がりした理由

ロシアのウクライナ侵攻により、先進国ではエネルギー価格が高騰しましたが、これも各国の物価高に大変な影響を及ぼしています。

たとえば、イギリスにおけるエネルギー価格上昇の主な要因は、卸売りガス価格の急激な上昇、サプライチェーンの混乱、再生可能エネルギーへの投資コスト増加などです。1つずつ、要因を深掘りしていきます。

2021年8月にはイギリスの卸売りガス価格は前年比で250%以上上昇しました。これは、世界的なガス需要の増加、ガス貯蔵量の減少、予測よりも低い風力発電量など、複数の原因があります。

そして、多くのエネルギー供給業者が高い卸売価格を反映するために価格を引き上げているわけです。

次に、新型コロナウイルスのパンデミックはエネルギー供給チェーンにも影響を与え、再生可能エネルギープロジェクトの機器や部品の配送に遅れや混乱を引き起こしました。これにより、エネルギー会社には追加費用が発生し、それも消費者に転嫁されています。

最後に、イギリス政府の再生可能エネルギーへの移行推進もエネルギー価格の上昇に寄与しています。風力、太陽光、原子力などの再生可能エネルギー源への投資には、大幅な前払いコストが必要であり、それがエネルギー料金の高騰につながっています。

これらの価格上昇の影響を緩和するために、イギリス政府は温暖化家庭割引などを導入し、エネルギー料金を支払うのに苦労する世帯に財政支援を提供しています。