「思いがけず得られたもの」を探すメリット
また、仕事を通して、想定外の思いがけない発見をすることもあります。
つまり、仕事の結果とは直接関係のないところで、すごくいい学びを手に入れたようなケースです。
あなたの仕事にもそんなうれしいオマケがなかったかどうか、
「想定外に得られたものはなんだろう?」
と、問いかけてみてください。
たとえば、あるプロジェクトを進行するにあたって、すべて自社スタッフで対応しようと思っていたところ、期日の問題から外部の力を借りなければならなくなったとします。
想定外のことでしかたなく外部の業者に依頼することにしたけれど、意外とスムーズに作業が進んだし、建設的な意見交換もできて、いい結果につなげることができた――。
こうして、予定とは違うプロセスを経ることになったけれど、それがいい結果につながったばかりか、今後は仕事のやり方の幅も広がりそうだとなれば、得たものは大きかったといえます。
「よくあることだよね」と思うかもしれません。
たしかにそうです。
でも、ここで振り返りをしなければ、「ご縁ができてよかった」で終わってしまうと思いませんか。
あえて意識的に「得られたものは何か?」と考える――。
そうすることで、学びがあったことにあらためて気がつき、さらには今後の成長力に変えていけます。
学びや気づきを成長力につなげていくという意味でも、最後に、
「今回の経験で、自分はどのように成長できただろうか?」
と、単刀直入に問いかけてみてください。
この質問に答えることで、仕事全体を言葉できちんと総括しておくと、そこで得た学びや気づきも、あなたの印象に強く残るのです。
この効果を高めるためにもセルフコーチングで導き出した自分なりの解答をぜひ紙に書き出すなどして「言語化」しておくことをおすすめします。
文字にすることで、次のステップ「概念化」を円滑に進めやすくなります。
経験を教訓にどう落とし込むか
「経験」とは、振り返った時点ですでに過去のものであり、それを未来に活かせるかどうかが成長力を高めるためのポイントになります。
そこで、すでに前段階で言語化された、経験から得た学びや気づきを、今後に役立てていくために、「教訓」として概念化していきましょう。そのために、
「この経験からいえる、本質的なことはなんだろう?」
と、考えてみます。とっさに出てこないようなら、
「この経験における、一番大切なことはなんだろう?」
「一言でいうと、何が得られたのだろう?」
などと、自問自答してみたらいいと思います。
「本質」とはそういくつもあるものではありませんから、できるだけ1つに絞りましょう。
それが難しい場合は、
「この経験における大切なことを、3つ挙げてみると?」
と問いかけ、厳選された3つの中からあらためて1つを選んでみるといいと思います。
それこそが、経験から得られた「教訓」といえるのです。