仏頂面の人に接客されたらどう感じるか

研修中には、振る舞い方の違いが、いかに異なる印象を与えるかについて、演習を通じて理解してもらいます。

あいさつの仕方、返事の仕方、話し方、立ち振る舞いの違いで、どんな感触を受けるかを新入社員に体験してもらうのです。

私の担当する研修では、接遇(受付から応接室へ案内するといった手合いのもの)の演習をすることで、その理解を高めてもらいます。これが非常に効果的なのです。

たとえば100円ショップで、店員さんに「○○はどこにありますか」と尋ねたとしましょう。

私自身の経験ですが、店長というバッジをつけた人が、仏頂面でレジカウンターの裏手から出てきたと思ったら、私のほうには近寄ってこずに、そのまま手を上に挙げて、足早に店の奥のほうへ歩いていきます。

私との距離は広がっていきます。手を上に挙げているのは、どうやら「ここにいる」という合図のようです。

この店長は、店長を追いかけて速く歩こうとはしない私に、イヤな顔をしているように見えます。相変わらずにこりともせず、仏頂面のまま狭い通路を進み、私がようやく近づくと、探していた商品から少し離れた位置から「あのあたりです」と言いました。

写真=iStock.com/Yagi-Studio
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丁寧な人に接客をされたらどう感じるか

さあ、これを丁寧な接客を心がけている店員であればどうするのか。新入社員に演習をしてもらいます。

まずは表情から違いが出てくるはずです。先程の店長は、いわゆる腰の低い人ではありませんでした。姿勢や歩き方など、すべてに矯正が必要です。

商品の置かれた場所まで案内をするときには、一旦お客様の近くまで行き、(自分のペースではなく)そのお客様のペースに合わせて歩きます。

「こちらへお願いします」などと声を掛けながら、自分の手の平を上に向けた格好で、通路を誘導します。歩いていた通路から、別の通路へ入るような場合は、「こちらの通路です」などと声を掛けながら案内するのが常識です。