人工衛星の設計に革命が起きる

もちろん、宇宙へアクセスする手段であるロケットなどの輸送機がなくなることはないだろうが、宇宙エレベーターはもう一つのアクセス手段として重宝されるだろう。

宇宙エレベーターは静止軌道へのアクセスだけではない。大林組によると「低軌道衛星投入ゲート」というものが準備されている。大部分の人工衛星が飛行する低軌道という高度数百kmあたりに、そのゲートから衛星を投入することができるのだ。

齊田興哉『空想が実現する時代のビジネス地図』(サンマーク出版)

これにより、人工衛星の設計に革命が起きると考えている。ロケットで衛星などを運ぶ場合、ロケットの振動、音響、衝撃など過酷な機械環境が課される。これに耐えうる設計をしなければならない。しかし、宇宙エレベーターであれば、それは不要になる。

つまり、人工衛星の設計、製造が根本から変わり、多くの部品部材が変更され、試験項目が省かれ、コストや工期が大幅に削減されることが予想されるのだ。

こう考えると、人工衛星は政府や企業が持つものであったが、自家用車を持つように個人が趣味やビジネスなどの目的で保有するような未来になってもそうおかしくないかもしれない。

関連記事
紙のようにペラペラで曇りの日も発電可能…日本人が開発した夢の太陽光電池「ペロブスカイト」の超技術
20年前なら日本のIT技術は世界一だった…天才プログラマーの7年半を奪った「著作権法」という闇
ほかの国なら「ピッ」で空港から出られるのに…「外国人向け切符」に大行列を強いる日本の残念なIT事情
ディズニー入園料1万円で驚いてはいけない…本場アメリカで進む「お金のない人は排除」という残酷な実態
このままでは「マイナンバーカード」が次々に失効していく…政府が"保険証廃止"を強引に進める本当の理由