月に住める未来も遠くない

これだけではない。同じくスーパーゼネコンの鹿島建設は、京都大学と共同で、「ルナグラス構想」を発表している。ワイングラスのようなおしゃれな形状で、直径約100m、高さが約400mの巨大な施設を建設する。

このルナグラスは、自転するように回転し、20秒かけて1回転することで、遠心力(人工重力)を発生させ、ちょうど地球と同じ1Gを作ることができる。このワイングラスの形状の内側は、水が膜のように張られており、遠心力でこぼれない。この水を利用して船を交通手段としたり、生態系を構築したり、人が居住できたりするのだ。2050年までに実現したいと意気込んでいる。

現在確認できる構想はこのようなものだ。観光や実験施設的な位置付けが強い印象がある。そのために人が住む居住施設があると考えるのが自然だろう。例えば、地球から大きく隔離されているので、月面刑務所というのもできるかもしれない。

大手ゼネコンが夢見る宇宙エレベーター

「宇宙エレベーター」をご存じだろうか。その名の通り、宇宙へとエレベーターを使ってアクセスするテクノロジーだ。宇宙とはロケットで行くもの。そんな常識を壊す広大な構想に果敢に挑戦し続ける企業がある。それは、日本のスーパーゼネコンの大林組だ。

大林組が構想する宇宙エレベーターでは、静止軌道と地球上をケーブルで結ぶ。このケーブルを通じて、人や物資を宇宙へと輸送するのだ。

大林組は宇宙エレベーターを次のような建設方法で検討している。まず、低軌道である高度300km付近に宇宙船を建設する。この宇宙船はロケットで打ち上げられ、国際宇宙ステーション(ISS)のように組み立てられて大型化していく。次に宇宙船は高度を上げ、静止軌道へと上昇する。宇宙船は、静止軌道からケーブルを地表に向けて垂らしながら、さらに高度9万6000kmまで上昇する。ケーブルは、地表面のアース・ポートに接続される。

参照=大林組
9万6000kmかなたの宇宙へと伸びるタワー「宇宙エレベーター」

このケーブルにクライマーを設置し、クライマーによってケーブルを補強していく。クライマーとはケーブルに沿って移動し、さまざまな輸送・建設作業を実施するロボットだ。そして、このケーブルをつたって、建材や物資を輸送しながら、静止軌道に宇宙ステーションを建設するのだ。これによって、地上から静止軌道まで物理的に繫がれた輸送システムが構築されたことになる。