右脳で他者感情を捉え、左脳で自己感情をつくる

8つの脳番地それぞれの右脳と左脳の働きは、次のようになっています。

1.思考系脳番地:思考、判断、自発的行動のきっかけ

右脳=図形や映像などの感想
左脳=具体的な答えを言語化

2.伝達系脳番地:コミュニケーション、言葉

右脳=非言語コミュニケーション
左脳=言語コミュニケーション

3.感情系脳番地:喜怒哀楽、感情表現、社会性

右脳=他者感情やその場の雰囲気をキャッチ
左脳=自己感情を生成

4.運動系脳番地:体を動かすこと全般

右脳=身体の左側をコントロール
左脳=身体の右側をコントロール

5.視覚系脳番地:目で見たことを集積

右脳=文字情報を集積
左脳=画像や映像、動くものの情報を集積

6.理解系脳番地:情報の理解・応用・見通し

右脳=図形や映像、空間などの非言語情報の処理
左脳=文字や話し言葉などの言語情報の処理

7.聴覚系脳番地:耳で聞いたことを集積

右脳=周囲の音やメロディを集積
左脳=言葉や歌詞を集積

8.記憶系脳番地:情報の蓄積、情報の活用、思い出す

右脳=映像記憶
左脳=言語記憶

空気は読めるけど、「私の感情」がない人が多い

感情系の左右差の話に戻りましょう。

左脳の感情系脳番地は「自分は○○だ」と言語化できる感情をつくり、自己感情を具体的な行動へとつなげていく役割をしています。

一方、右脳の感情系脳番地は、言葉ではなく、声や表情、ジェスチャーなど漠然とした情報から感情を受け取ります。10年ほど前によく言われた「空気を読む」というのは、この右脳感情系脳番地と視覚系脳番地の働きが関係しています。

右脳で生じたぼんやりした気持ちは、左脳を介して言語化されます。左脳によって、「これはこういうことだ」と自分の言葉に変換されてはじめて、「私の感情」が確認できるのです。

興味深いことに、これだけ言語化された情報があふれている世の中にもかかわらず、今、左脳の感情系脳番地が発達していない人が増えています。

ほとんどの人が右脳の感情系脳番地、つまり周囲の空気を察する脳だけが少し発達していて、自己感情を生む左脳の感情系が育っていません。デジタル化の中で、左脳の感情系の成長が置いてきぼりになっているのです。