文章の構成が正しくても無難な書き出しだと台無し
たとえば、次の「つかみ」をご覧ください。
もう1つ、別の「つかみ」もあげてみます。
どちらも文章の構成の基本である「5W1H」(5W1Hは文章を構成する基本的な要素。「いつ(when)」「どこで(where)」「誰が(who)」「何を(what)」「なぜ(why)」「どのように(How)」のことを指します)を意識し、話の前提をきちんと説明しようとしている、わかりやすい「つかみ」だと思います。
ただ、わかりやすいものの、無難すぎて、読み手を惹きつけるインパクトはありません。これだと、なかなか「先を読みたい!」とはなりにくいでしょう。
こうした「つかみ」を書いている人のなかには、「これではインパクトがないなあ……」と自覚している人もいるかもしれません。
しかし、いろいろ手を加えてもしっくりせず、結局、「わかりやすいほうがいい」と無難な「つかみ」になってしまう。じつは私自身、ライターとしてデビューしてから数年間はこの症候群にかかっていて、そんな堂々めぐりをしていました。
どこかで読んだような紋切り型フレーズではインパクトなし
②手あかのついた『つかみ』に頼っている」症候群
無難すぎる「つかみ」から抜け出そうとしたときにかかりがちなのが、「手あかのついた『つかみ』に頼っている」症候群です。
手あかのついた「つかみ」とは、いろいろなところで使われすぎていて、もはやインパクトがない「つかみ」のことです。
たとえば、次の文章をご覧ください。
内閣府男女共同参画局『男女共同参画白書平成28年版』の文章です。これは白書なのでしかたがありませんが、冒頭の「少子高齢化の進展がうんぬん」という文章はあちこちでよく見かける文章であり、驚きがありません。