ちょっとしたレポートや作文、ビジネス文書ならChatGPTなどのAIで作れてしまう時代。プロのライターとして25年のキャリアがある杉山直隆さんは「痛感しているのが文章の書き出し、つまり『つかみ』で読者の興味を惹くことができないと、その先の文章を読んでもらえないということ。ライターとして試行錯誤し確立した書き出しのノウハウは、ChatGPTにはないスキルのはずだ」という――。
※本稿は、杉山直隆『文章はつかみで9割決まる』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。
最初の数行だけで続きが読みたくなる文章を書くには
プロの原稿からアマチュアのブログまで、文章は9割がつかみで決まります。最後まで読んでもらえる「つかめるつかみ」は次のように定義できます。
・最初の数行だけで、何らかの期待を持つことができ、続きが読みたくなる
・全部読んだときに、「期待に応える文章だった」と感じられる
どちらか1つではなく、2つの条件がそろうと「つかめるつかみ」というわけです。
一方、「つかめないつかみ」の定義として私が考えるのは次の2点です。
・最初の数行を読んでも、読みたい気持ちが起こらない
・全部読んだときに、読み手の期待に応えられていない
要は「つかめるつかみ」の逆ですね。もう少し具体的にしてみましょう。この原稿を書くにあたり、私は、文章を生業としていない人が書いたブログやnoteにも目を通し、どんな「つかみ」からはじめているかを調べました。また、過去に自分の書いた記事のスクラップ帳をひっくり返してみました。
すると、せっかく面白いことが書かれているのに、いまいちな「つかみ」をいくつも目にしました。また、「つかみ」を読むと面白そうなのに、全文を読んだら期待外れに終わったというものもありました。
「つかめないつかみ」には5つのパターンがある
とくに多いパターンを整理すると、「つかめないつかみ症候群」といったかたちでまとめることができました。次の5つのパターンがあげられます。
①「わかりやすいけど、無難すぎる『つかみ』」症候群
おそらく、多くの人が最初にかかる「つかめないつかみ症候群」が、これなのではないかと思います。
文章はわかりやすいし、間違ったことも書かれていない。けれども、無難すぎて、刺さる要素がない。そんな「つかみ」から抜け出せない症候群です。