目標が見えていれば必要な額は決まる

健康づくりとお金づくりは、実はよく似た側面を持っている。「現状把握→目標設定→意思決定→継続のため仕組みづくり」という一連のプロセスがまったく同じなのだ。ダイエットで最初に自分の体重を知るのと同じで、資産運用も、まずいま自分はいくら持っているかを知る(現状把握)ことから始まる。そのうえで、いつまでに、何のためにいくら必要なのかという目標を立て(目標設定)、どんな金融商品を使ってどのように投資をしていくのかを考え(意思決定)、無理なく続けられる仕組みをつくる(継続技術)のだ。

「食費、交際費、娯楽費など、項目ごとに年間の支出を把握している」という問いに「あてはまる」と答えた人は、1500万円以上の13.2%に対し、400万円台の人では7.7%。「いつまでにいくら必要か目標を数値化している」という問いに「あてはまる」と答えた人は、1500万円以上の13.5%に対し、400万円台の人では4.5%と、いずれも大きな差を示している。

図を拡大

目的が不明確なまま資産運用を始めると、お金を殖やすことが目的化してしまい、計画性のない投資に走って失敗するケースが多い。本来、お金というのは目的を実現するための手段にすぎない。目標や目的がはっきりと見えていれば、将来必要なお金の額はそれに応じて自然に決まる。資産運用のプロセスも自ずと見えてくるはずだ。

最後に、情報収集と人脈づくりについて触れたい。「雑誌・書籍代に月1万円以上使っている」という問いに「あてはまる」と答えた人は、1500万円以上の16.4%に対し、400万円台の人では6.1%。2倍以上の差になっている。この差は、単に意欲の違いにとどまらず、年収の高い人ほど「整理された情報をインプットする時間をうまくつくり出している」と見ることができるだろう。

「仕事のレベルアップのために」と、勉強会や異業種交流会にたびたび参加している人を見かけるが、こうした時間をいったん整理してみてはどうだろうか。20代の頃、私も勉強会や異業種交流会に参加したが、残念ながらそれをきっかけに新たな人間関係が生まれることはなかった。もちろん、このような会合に意味がないと言っているのではない。場をうまく生かすことができる人と、そうでない人がいるのだ。

その違いは「自分から相手に与えられるものを持っているかどうか」である。勉強会や異業種交流会は「価値を交換する場所」だ。だから「自分の価値が何か」をわかっていないと参加しても意味がない。手ぶらで行って「何か有用な情報をください」といっても、誰も何も与えてはくれない。他の人と差別化できる分野は何か、自分が本当に好きで、その道を究められる分野は何か。こうしたこともまた、自分の頭の中を鳥瞰することで見えてくる。

※すべて雑誌掲載当時

(構成=梅澤 聡 撮影=飯田安国、相澤 正)
関連記事
なぜお金持ちは体を鍛えるのか?
家計の病気119番【年収1500万円世帯】
「年収1500万社員vs400万」630人分析! -グズ脱出&メリハリ化のコツ、すべてわかった【1】
「儲かる時代はとうに終わった」赤貧・歯科医の告白
「4タイプ分析」男を出世させる妻、ダメにする妻