一本化されればトラブルは100万件を超える?

「『本人とは似ても似つかない写真がカードに使われる例が増えているんです』

と、まずは現場の声からお届けしよう。

『今後、これが身分証明書として使われて大丈夫かと心配になりますね』

そう嘆くのは東海地方のさる地方自治体でマイナンバーカードの業務補助員として働く女性である。(中略)

交付作業自体にも難あり。

『一人3分以内を想定し、それ以上にはならないようにとの指示を受けている。うちの役所では多いときには150人も交付した日があります。それくらいのペースでさばかないと進まないですからね。写真について尋ねたりしていたら、あっという間に時間が過ぎてしまいますよ』

カップラーメンを作るほどの時間で大事な『身分証明書』が交付される。それが今後、本人証明の唯一の手段となったら……実に恐ろしい」

続けて新潮は、全国保険医団体連合会の住江憲勇会長にも話を聞いている。

「『私たちが全国の医療機関で行ったアンケートによると、回答があった1万件のうち、現時点でトラブルが起こったと答えた割合は3分の2にも及びます。その中の3分の2は保険証が無効とされる事案で、3640件もありました。そもそも今、マイナ保険証を提示される方は全体の6%、16分の1に過ぎません。しかも、全国に医療機関は18万カ所ありますから……』

マイナ保険証に一本化されれば、単純計算で3640×16×18。100万件を超えるトラブルが予想されるというのだ」

写真=iStock.com/smolaw11
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次は銀行口座なども紐付けられるのは間違いない

「『これだけならまだ支払い上の問題ですが、先のアンケートでは他者の医療情報の誤登録も114件あった。政府はこれを単にトラブルと呼びますが、病歴や血液型、処方歴、アレルギーなどの誤認は命に直結するため、トラブルでは片付けられません。それもGW明けから6月までの短期間でこの数字です。本当に一本化が始まれば、一体、何が起きるのか……』

かくして、デメリットばかりが目立つ“マイナス事業”へと変質した一連のマイナ事業」

このような不安が広がり、取得したマイナカードを返納する動きまで出てきている。

岸田・河野コンビは、“功”を焦りすぎて墓穴を掘ったといっていいだろう。

私はマイナカードを持っていないし、申請しようとも思っていない。これ以上、自分のプライバシーを国に渡すことに我慢がならないからだ。

これまでも国民総背番号制(住民基本台帳法)や、作家の城山三郎氏が「平成の治安維持法になる」といった個人情報保護法にも反対してきた。

ここで、マイナカードと保険証の一体化を許せば、銀行口座など次々に紐付けられていくことは間違いない。

来年の7月前半に新札を発行する予定だといわれている。国税庁の狙いは何十兆円ともいわれるタンス預金を炙り出し、税を徴収することにあるはずだが、これもマイナカードで個人の資産を把握しようという前段の動きだろう。