駐車場を利用し、2つのパークを行き来できる「パークホッパー」オプションを付け、人気アトラクションの待ち時間を短縮できるサービス「Genie+」(ジーニープラス)を購入した場合の値段だ。宿泊代や食事代、お土産代は含まれていない。

●スタンダード・テーマパーク・チケット……1人179ドル(83~179ドルの変動価格)
●パークホッパー……1人65ドル
●ディズニー・ジーニープラス・サービス……1人25ドル
●スタンダード・ワンデー・パーキング・バウチャー……30ドル
米ディズニーランド・リゾートの公式ウェブページより。大人2人・子供2人で、パークホッパー、ディズニー・ジーニープラス・サービス、駐車場代を含めた合計額。

チケットは昨年10月に10%ほど値上げされた。繁忙期は1つのパークに入場するだけでも、179ドル(約2万5380円)の支出となる。平日は入場料が104ドル(約1万4550円)となるケースが多いが、適用日は少なくなってきているようだ。チケット代だけでも日本の2~3倍程度の支出となっている。

「私たち中流家庭は切り捨てられた」

もう一つの不満の原因は、無料のファストパスの廃止だ。代わりに2021年10月から有償サービス「Genie+」が導入され、購入者だけがライトニング・レーン(LL)と呼ばれる優先列に並んでアトラクションの待ち時間を短縮できるようになった。実質的に「ファストパスの有料化」だ。

当初、フロリダ州のウォルト・ディズニー・ワールドでは1人15ドル(約2130円)、カリフォルニア州のディズニーランド・リゾートでは1人20ドル(約2840円)だったが、翌年10月から混雑状況に応じて15~22ドル(約2130~3120円)に引き上げられた。

テーマパーク・ジャーナリストのカーライル・ワイゼル氏はCNNに対し、Genie+やライトニング・レーンは「以前ならば無料だったものにさらにお金を払うシステム」だと批判している。評論家のトッド・マーテンス氏は、ロサンゼルス・タイムズ紙に寄稿し、「今日、こうした『持つ者』と『持たざる者』という意識が、誰もが不快な気分になるカースト制度を作り始めている」と指摘している。

値上げを受け、ディズニーランド・リゾートの訪問予定を1日短縮せざるを得なかったというアメリカの女性は、CNNに対し、「彼らは本質的に、中流以下の家庭を排除しているのです。より高級な市場を取り込みたいのです」と述べ、今回の値上げで年間パスポートを手放したことを明かしている。

「有料版ファストパス」を買ったのに並ばされた…

アトラクションに並ぶ列をさばくキャストメンバー(パーク係員)も、心を痛めているようだ。

ディズニーパークの情報を伝える米インサイド・ザ・マジックは、「Genie+」を購入したのに45分も待たされる場面や、逆にスタンバイ列(追加料金を支払っていない人が並ぶ一般列)が長すぎるなどにより双方から苦情が絶えず、「キャストメンバーたちも辟易する」ほどの事態になっていると報じている。