芸能界で身につけた「下から目線」

HIROさんにはこれまでに2冊の著書があるが、1冊目の『Bボーイサラリーマン(*14)ではこわもてのイメージ通り、〈俺〉を使っている。ところが、二冊目の『ビビリ(*15)では、一部を除いてすべて〈僕〉になっている。

友田健太郎『自称詞〈僕〉の歴史』(河出新書)

〈俺〉を使うのは、妻である女優の上戸彩さんへの思いを「俺よりもものすごい経験をいっぱいしていて」(*16)と書く箇所など例外的だ。『ビビリ』でHIROさんは「人と接するときは、基本は下から目線がいい」(*17)と謙虚さの重要性を説いている。競争が熾烈しれつな芸能界で身につけた知恵だろう。

HIROさんはそんな考えから〈俺〉よりも謙虚に聞こえる〈僕〉を使うようになり、またメンバーにも勧めているのかもしれない。メンバーの世代交代の影響もあり、最近のEXILEは外見のイメージも、以前よりもぐっとソフトになってきている。

(*14)幻冬舎、2005
(*15)幻冬舎、2014
(*16)同右p.287
(*17)同右p.213

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