インスリンの血中濃度を調べる方法

あなたのインスリンの感受性(あるいは抵抗性)を測り、脳機能の状態について知ってみてはどうだろうか?

その場合、判断材料になるのはHOMA-IR(ホーマ・アイアール)という指数だ。HOMA-IR(homeostatic model assessment for insulin resistanceの略)は、インスリン抵抗性を測る数値で、自分の膵臓が空腹時の血糖値を保つには、どれくらいインスリンを送りだす必要があるのかという問いに答えるシンプルな方法だ。この数値は、あなたのかかりつけ医が行えるシンプルな2つの検査――空腹時の血糖値と、空腹時のインスリンの血中濃度を調べることで割りだせる。数式は次のようなものだ。

空腹時の血糖値(mg/dL)×空腹時の血中インスリン値(µU/ml)/405

基準値としては2未満が正常で、低いほど良く、最適なHOMA−IRは1未満だ。2.75を越えるとインスリン抵抗性があると考えられる(日本では、正常値は1.6以下で2.5以上がインスリン抵抗性ありと判断される)。

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糖尿病とアルツハイマー病の関係

研究がはっきり示しているのは、HOMA-IRの数値が高いと、現在はもちろん将来的にも認知機能が低下する可能性があることだ。

インスリン抵抗性は、アルツハイマー病の患者にも非常によく見られる。患者の80パーセントにインスリン抵抗性があるが、それが本格的な2型糖尿病の症状である場合と、そうではない場合があるようだ。データによれば、2型糖尿病を発症していると、アルツハイマー病の発症リスクが2〜4倍に増えるという。

総合的に考えると、アルツハイマー病の40パーセントは、高インスリン血症が直接的な要因かもしれない。そのため研究者や臨床医は、アルツハイマー病を「3型糖尿病」と呼びはじめている。

もちろん、2型糖尿病がアルツハイマー病を引き起こすわけではない。もしそうなら2型糖尿病の患者はすべてアルツハイマー病になり、アルツハイマー病の患者はすべて糖尿病になってしまう。だが、そんなことはない。ただ、この2つは互いに密接につながっているという見方が優勢になってきている。

結論としては、糖尿病や糖尿病予備軍のリスクが低くても、インスリン値が慢性的に高くなると大きなダメージが及ぶ可能性がある。そうなると脳の働きが損なわれ、そのあいだにも数十年後の広範囲にわたる神経細胞機能障害の下準備が着々と進んでいくのだ。