血液検査でアルツハイマー病になるか予測できる
インスリンシグナルを伝達しているタンパク質は「インスリン受容体基質1(IRS-1)」と呼ばれる。IRS-1は、脳のインスリンの感受性の衰えがわかる高感度のマーカーだと考えられている。アルツハイマー病患者の血液中には、このタンパク質の不活性な形が多い(活性化しているものが少ない)という。
そのため、アメリカ国立老化研究所の研究チームは、シンプルな血液検査によってアルツハイマー病の症状が現れる前に発症の有無がわかるのではないかと考えた。そして、その結果に彼らは目をみはった。不活性の形のIRS-1の量が多い被験者は(脳のインスリンシグナルがダメージを受けていることを意味する)、100パーセントの確率でアルツハイマー病を発症していたのだ。
それよりも驚いたのは、この血液検査に見られる兆候が、疾患の症状が現れる10年前にはっきり現れていたことだ。この知見は、脳のインスリンの感受性を生涯にわたって維持することが、アルツハイマー病を防ぐ大きな一歩になるかもしれないことを示している。
「低GI食品」だから身体にいいわけではない
1日を通して、インスリンの分泌の急上昇や急降下をできるだけ抑えたいなら、炭水化物がたっぷり含まれる食品の摂取量について考えるべきだろう。
これには糖入り甘味飲料や加工食品、シロップ、ペストリーなど、糖質のかたまりのような食品も含まれる。だが、玄米など「低グリセミック・インデックス(低GI)」といわれる全粒粉の食品でも、実のところはたちまち血糖を増やし、そのブドウ糖をインスリンが血液から取りだすことになる。こんな話は聞きたくないかもしれないが、何年も私の定番食だった全粒粉パンは、グリセミック・インデックス(血糖の増加の指標)もグリセミック・ロード(食品1食分に含まれる糖質がどのくらい血液中に放出されるかを表す)も砂糖より高かったのだ!
全粒粉の食品は、精製された炭水化物より「身体にいい」といわれがちだが、本当のところは、しょっちゅう食べても「悪くはない」というのが正しい。